高須:わざとらしく可愛げを出すと、それはそれで、あこぎになるんですよ。

――とすれば、思春期に可愛げをなくした先生も、小学校の時の黄金時代は二度と戻ってこなかった、と。

高須:いや、それがね、この頃また、むちゃくちゃモテるんですよ。どこへ行ってもみんながベタベタしてきて。「先生、私、胸が小さいんだけど大きくした方がいい?」とか言われて、どれどれって触っても誰も「キャー」一つ言わない。

 まあ、向こうにしてみれば、毒のないコブラだとか、牙のないクマを相手にしている気持ちだろうと思うけど。

――ギラギラが消えて可愛げが復活した?

高須:無邪気で純粋な気持ちのまま生きてこれたら小学校の時からずっとモテ続けたかもしれません。でも途中で「事業を拡大してやろう」とか「美容整形の名人として褒められよう」とか「可愛げのないこと」を考えたところから、モテなくなったんだね。

 それが、気持ちを開放して、自分に嘘をつくのも止めて、「みんなが喜ぶことだけをやろう」と考えたら、再びモテるようになったんです。何しろ「彼女がいる」って公言しててもモテるんだから。今だって、隣の部屋で漫画を書いてますよ。

――なんと、西原先生、隣にいるんですか。

僕は愛されていると思っている

高須:ええ。彼女に漫画で「尿漏れ、ツイ廃(ツィッター廃人)老人」とか書かれることで、みんなに愛される存在にしてもらえたと思っています。とても感謝しているんです。西原だって、普通の女性は「尿漏れ、ツイ廃老人」からは逃げていくでしょう。僕はこれでも愛されていると思っているんですよ。

――それは漫画を読んでいて十分伝わります。

高須:今、心配なのは、こういう風にモテるようになった爺は、みんな騙されて選挙に出ちゃうことなんですよ。選挙に出て晩節を汚す。だから僕が「選挙に出たい」と言い出した時は、「それはもうボケた証拠だから、暗殺してくれ」って西原には言ってあります。

――わかりました(笑)。先生、今日はありがとうございました。最後にまとめると、小学校時代に一番モテた男子の末路は、「思春期以降はモテなくなるけど、やがて人間的に成長し、可愛げが復活すれば、再びモテる時も来るかも」。こんな感じでしょうか。

高須:そうでしょう。ところで「末路」と言えば、最近、僕は「あっ今、ここで死んだら凄く幸せなのにな」と思う瞬間がたくさんあるんです。でもその瞬間を常に逃していて、最後はとても悲惨な末路になるんじゃないかと不安なんです。

――そんなことにはならないと思います。

高須:そうですか。でも「これだけ人気があるんだから1つ選挙に出てみませんか」なんてそそのかされて、とち狂ってしまい…。

――大丈夫。その時は西原先生が暗殺してくれます(笑)。

高須:そうだね(笑)。

文/鈴木信行 似顔絵イラスト/大嶋奈都子 ポートレート写真/古立康三


「宝くじで1億円当たった人の末路」
 著者:鈴木信行
 出版社:日経BP社

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