高須:映画を見てモテる勉強をするわけですよ。タバコの吸い方にしても「うーん、俺に近付くと不幸になるぜ」って雰囲気を醸し出そうとしたりね。「不幸になるのはお前だよ!」って話なんだけど(笑)

――確かに(笑)。

高須:結局、映画を参考にするのは全部ムダ。あれは“最初からモテる人たち”がやっていて様になるんであって、普通の人がやったら可愛げがなくなるだけです。アイドル産業なんか見てごらんなさい、男性、女性とも「可愛げを長く維持できる感じの子」に白羽の矢を立てるんです。顔立ちが美形かどうかなどは、実はさほど関係ない。

 さっきも言ったけど、むしろ完璧な顔立ちはモテません。人間は「欠けている部分」に恋をするんだと思うんです。人気タレントさんは皆、完璧な顔じゃないでしょう。お笑いタレントも「足りない」からこそモテるんです。

――そう言われてみれば、そんな気もします。

高須:ファッションモデルなんて、歩き方も完璧だしスタイルも完璧だけど、僕は「衣紋掛け」だと思っていますからね(笑)。ロバはロバでいいんです。馬だってサラブレッドでなくて構わない。ばんえい競馬の馬も立派だし、ゴビ砂漠を横断する馬でもいい。みんなそれぞれいいところを持っているんです。

 ロバがより輝くロバに、ばんえい競馬の馬がより輝くばんえい競馬の馬になれるようお手伝いするのが僕の仕事です。それを、ロバをサラブレッドにしようとおカネを毟り取る悪い美容外科もいるんですよ。

――そう聞きます。

高須:ロバがサラブレッドになろうなどとしなくていい。残そうと思えば、十分に子孫は残せます。自分の足りないところを補ってくれるDNAを持っている人がどこかにいて、そういう人とうまくDNAを交配していくようにこの世界はできているんです。

――なるほど。

郷ひろみさんに見た「モテる苦労」

高須:モテる人を見て羨ましいなあと思うのは、「自分のDNAを撒き散らすチャンスがたくさん与えられていいなあ」と思うからです。でも現実には撒き散らすことなんてできないし、そもそも世界中にDNAを残す必要なんてないじゃないですか。

――それはそうです。

高須:それどころか、モテる人は大変ですよ。

 郷ひろみ君とはもうデビュー当時からの付き合いなんだけど、彼なんか本当に大変で。デビューしたての頃は、本当に熱狂的なファンが押し寄せてきてたの。マネジャーたちが必死にガードするんだけど、もうピラニアのようでね。僕も、彼が逃げる時に一緒になって逃げましたよ。そしたら、ひろみ君が「先生は誰も追いかけてこないから逃げなくていい」とアドバイスしてくれました(笑)。

――確かに(笑)。可愛げというのは、再生できませんか。