コミュニケーションがうまく取れず、人間関係にストレスを感じて、仕事や生活が何だかうまくいかない──。そんな人に向けて、明治大学文学部教授・齊藤孝さんによる「人間関係力」の鍛え方をご紹介します。今回は「質問力」がテーマです。

齊藤 孝(さいとう・たかし)

1960年静岡県生まれ。明治大学文学部教授。東京大学法学部卒業。東京大学大学院教育学研究科博士課程等を経て現職。専門は教育学、身体論、コミュニケーション論。累計部数1000万部を超える著書を送り出したベストセラー作家でもある。2018年2月に、ビジネスに役立つ実践的な“人づき合いのコツ”をわかりやすく解説した『大人の人間関係力』を上梓。(写真:平野 敬久)

 コミュニケーション能力は、「質問の質」で分かる。「聞きたいことを聞く」だけでは「残念な人」に見られることも…。「できる!」と思わせる「質問力」の鍛え方をお教えしよう。

 セミナーや講演会で質疑応答の時間になると、“困った質問者”に遭遇することがある。大勢の中で手を挙げて発言する勇気は素晴らしいが、発言時間がやたらと長い。それも自分の意見や経験を脈絡なく語り、結局何が聞きたいのか(恐らく本人も)分からなくなったりする。

 質疑応答の時間はだいたい予定より短くなりがちで、質問数はおのずと限られる。それを1人で占有してしまうのだから、他の参加者にもかなり迷惑がかかるのだ。

 とはいえ、これは仕方のない面もある。“質問の作法”というものを、体系的に訓練する機会を持ってこなかった。だから、我流にならざるを得ない。では具体的に、「質問の作法」とは何か。「基礎編」と「実践編」に分けて説明しよう。

「できる人」の質問

こんな質問、してもいいのかな……? (C)PIXTA

 まずは「基礎編」から。質問は、コミュニケーションの基本だ。例えば会議でも、主張を述べ合うだけでは議論にはならない。「問い」と「答え」を繰り返すことで焦点が絞られ、結論を得ることができる。これが会議の基本だろう。

 この時、議論をリードしたり、全員に新しい視点を提示するような質問をすれば、「できる人」に見られる。逆に的外れな質問をしたり、終わった議論を蒸し返したりすると、たちまち「残念な人」になってしまう。会議とは、「質問力」が問われる場でもあるのだ。