結婚、子ども、仕事、人生の分岐点で選んだ私の道

会場を埋め尽くした女性たちは、小池さんの言葉に熱心に耳を傾けていた
会場を埋め尽くした女性たちは、小池さんの言葉に熱心に耳を傾けていた

 アラビア語に限らず、多くの通訳の方はフリーランス、いわば個人事業主として仕事をしています。生活基盤安定のためには会社へ所属するのが一番、といった考え方はまだまだ根強く残っていますが、小池さんのキャリア設計において、組織人となる選択肢は考えなかったのでしょうか。

 「男女雇用機会均等法という言葉すらなかった時代に通訳として働き始めましたが、以前から思っていたのは、日本社会というのはやりたいことがやりづらい、という感覚でした。企業に入っても女性は結婚したら寿退社を余儀なくされる時代でしたしね。結婚後の人生も長いので、私は一生できる仕事を求めて、通訳という世界に飛び込むことにしました」

 自分の背中に自らの人生を背負うため、組織に頼らないという職業・働き方を選んだ小池さんですが、一人の女性としての生き方については次のようにも振り返ります。

 「私は結婚もしましたが、仕事が面白くてさっさと別れてしまいました。でも、子どもが欲しいと思う時期はありましたね。こうして後になって後悔するところもありますから、今仕事を楽しくされている皆さんもぜひ、遅過ぎないうちに家族というのは大切になさったほうがいいんじゃないかなとは思います」

 夢中になれる、やりがいのある楽しい仕事に出合えることは人生の豊かさにもつながるものですが、一方で、日々のプレッシャーやストレスとも戦いながら仕事を頑張っている女性がたくさんいるはず。現在、東京都知事を務める小池さんは超多忙な生活を送る中、ストレスとどのように向き合っているのでしょうか。

 「私にはストレスというものがなくて、能天気といえばそうですが、いつもポジティブに考えるようにしています。はたから見たら困難と思われる状況でも、それを切り拓いていくことに楽しみを見出すタイプなんですね。厳しい時には、これは神様が与えてくれた自分への試練で、乗り越えることができたら自分が磨けるんだ、という風に考えることにしています。自分に厳しい事を言う上司がいても、この人は私を助けてくれてるんだと考えられる方が、人間として大きくなれるんじゃないかと思うんです」