作家・学者による古今東西下ネタ披露

 鹿島茂、西木正明、田丸公美子、林真理子、柴門ふみ、大石静、桐野夏生、小池真理子、森瑤子、大宅映子、安井かずみ、石田衣良、村上由佳、北方謙三、高樹のぶ子、勝目梓、出久根達郎(敬称略)。

 名前を聞いただけでおなかいっぱいになりそうな濃いメンバーによる下ネタ対談。告白も懺悔もあれば、古今東西のウンチクもある、世評もあれば驚愕の具体例もあり、一冊読み終わる頃には、体の血がすべて下半身に集まってしまうような読後感です。

 桐野夏生さんが「私は満員電車の中で夕刊を読んでるような疲れたサラリーマンが好きだなぁ。何だか色っぽい」と言えば、石田衣良さんが「日本の男は数字主義。胸は何カップがいいとか、年齢がいくつだったらダメとかさ」と語ります。いやこんなのは刺身のツマのような発言で、本書にはここに引用できないようなネタが山ほど書かれています。詳しく知りたい方はぜひご一読を。

 しかしこれだけ読んでも、イヤな気がしません。生理的な嫌悪をみじんも感じないのはなぜなのか。私なりに考えた結果は、誰もが「上機嫌」で語っているからでした。誰もが人や世の中を明るくする方向で語っています。さらには古今東西のウンチクが混じり、誰一人詮索をしない。陽性で語られるわい談だからこそ、人間が、生きていることが、愛しく思えてくるのです。

 何のことはない。「下ネタの品格」とは語る人の「人格」そのもの。語れば人格が丸裸になってしまう分、楽しくもあり、怖くもあるものなのですね。

文/ひきたよしあき

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