上司の夢、壮大すぎ

 「僕の夢はね、自分が描いた変なキャラクターを、世界中の人に見てもらうことなんだ」
 へ? 世界中の人に見てもらう?
 「自分が作ったものが、世界中の人に影響を与えて、僕が死んだ後も地球上にずっと残っていくっていうことを、僕の人生の“最終目標”にしたんだ」
 「壮大な夢ですね……」
 「夢っていうのは、荒唐無稽なほうがいいんだよ。ギャグみたいなやつのほうがいいんだ」
 「はぁ」
 上司は表情ひとつ変えずにまくしたてた。
 「僕がキャラクターにこだわるようになったのは、それが人に大きな影響を与えることに気づいたからなんだ。例えば、世界中で印刷された本の発行部数ランキングでは、『聖書』などの宗教の聖典をのぞくと、『星の王子さま』とか『ピーターラビット』とか『ミッフィーちゃん』みたいなキャラものが上位なんだよね」
 「あ、『星の王子さま』は知っています。世界中でベストセラーなんですね」
 「うん、あと僕がキャラクターにこだわっている理由がもうひとつあって、僕みたいに絵が下手でも、キャラなら、それが“味”にできるからなんだ」

 「絵が下手」っていう自覚あるんだ……。

*続きはこちら→ 第六回 契約社員なのに、朝4時まで徹夜した仕事…その結果は

文・イラスト/吉永龍樹


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