説得しても、納得してもらえない

 「このようなメールが我が社のサポートセンターに送られてきた以上、記事の制作体制に問題がなかったのか検証せねばなりません」

 カスタマーサポート部の部長が静かにそう言った。
 その部下らしい男の人も、同席してせっせと議事録を取っている。

 私はインタビューすることになった経緯を説明し、自分が書いた企画書を見せた。そして、録音したICレコーダーを再生し、「こちらの企画書は何か熱くて、僕の言いたいことをわかってくれかもしれないって思ったんです」という俳優の言葉をその場で聞いてもらった。
 これ以上の証拠があるだろうか?

 それから、ミュージカル評論家のコメント、ツイッターの読者の声、そしてページビューの数字などを次々と見せる。
 そして上司が、インターネットのコンテンツとして爆発的な人気を集めていること、記事によっては賛否両論もあるかもしれないけれども、2.5次元ミュージカルの分野では確固たる地位を築きつつあることを主張してくれた。
 ところが、それでもカスタマーサポート部の部長は、納得しないようだった。
 今は数字が良くても、いつか人気がなくなるかもしれない。そもそも反対意見がある記事によって、会社のイメージを損なわない保証はあるのか……。
 そういう意見もよくわかる。二度と炎上させない、と約束できるかどうか、私もわからない。
 でも、このオタクな私が書いた記事を、熱く支持してくれている読者だっているのだ。やめたくない。続けさせてほしい!

*続きはこちら→第十六回助けて!自分へのクレームが原因で事業が1つ潰れそう

文・イラスト/吉永龍樹


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