クビを覚悟したけれど

 「クビだろうな……と思ったのですが、『もっと適した職場があるかもよ』と言われて、なんとウェブメディアのある今の部門への異動を勧められたんです」
 「理解してくれる人が現れたんですね」
 「そう言われるまで、自分の夢と会社の仕事が結びつくなんて、想像もしていませんでした。でも確かに、会社のメディアで活動すれば、より大きな影響力を持てる。そして、自分の能力を活かして、会社に貢献もできる」
 「すんなり異動できたんですか?」
 「いや、まずは、会社の中で実績を作ろうと思いました。上層部に直談判して、会社の中で自主的な勉強会を始めたんです。どんなコンテンツがネットでウケるのか、どうすればウェブメディアとして人気が出るようになるか、というテーマで。メディア部の課長なんかも来てくれて、すごく賑わっていました。この勉強会が今でも続いているんです」

 勉強会を続ければ、「コイツはウェブメディアの事業部に異動させたほうがいいんじゃないか」という話が出てくるはず。それを狙っていたのだけれども、自治体向け事業の仕事も手を抜くわけにはいかない。所属している部署でも成果を出すために、入社以来、まったく興味が持てなかった仕事をがんばるようになったという。
 こうして1年もの間、社内での勉強会を、毎週100人以上という規模で続けた。
 本業の仕事、勉強会、そして自分の活動。
 それらを、睡眠時間を削りながらこなしたのだ。