「何のために働いているのかわからない」。そんなこじらせOLが主人公の小説『言い訳ばかりの私を変えた夢みたいな夢の話』を、本連載「才能がない人の夢のかなえ方」としてお送りしていきます。前回、はじめて仕事が面白いと感じられたヤグチでしたが……。
前回までのお話→ 前書き、第一回、第二回、第三回、第四回、第五回、第六回、第七回、第八回、第九回、第十回:アラサー契約社員 夢が叶った!なのにモヤモヤ…なぜ?
【第十一回】自分で居場所をつくる
その日は珍しく、わりと早い時間の電車で帰ることができた。
金曜日だったので、駅にはお酒を飲んだ帰りらしい人がたくさんいた。
家についてテレビをつけると、経済ニュース番組をやっていた。
「……個人がLINEのスタンプを作成できるようになり、会社員とクリエイターの2足のわらじを履く人が増えています。東京のIT企業に勤めるヨシナガさんに話を聞きました」
テレビ画面に目がくぎづけになってしまった。
なんと上司がインタビューに答えている。
見慣れたうちの会社のオフィスだ。というか、シャツのすそ出てる!
そして、場面が切り替わり、自宅でイラストを描いているところが映し出される。いつものあの下手な絵だ。
「平日の勤務後や土日を利用して制作活動を行う。スタンプは若い女性に絶大な支持」
というテロップが出ている。
驚いた……。
上司はこの数カ月で、自分の夢に向かって、着実に進んでいたのだ。