「将来の見通し」編

25. 「景気がいい」=「生活がラク」は過去の話
アベノミクスは主に企業向けのマクロ施策。「企業の業績が最高益を更新するなど、それなりに成功しています。一方、消費者側は消費増税に加えて物価上昇の影響で生活は苦しく。まさしく“実感なき景気回復”です」(藤川さん)

KEYWORD/アベノミクス
第2次安倍政権で安倍晋三首相が掲げた経済政策の通称。「デフレからの脱却」と「富の拡大」が目標で、それを実行するために「3本の矢」と呼ばれる金融政策、財政政策、成長戦略、を実施している

26. 「給与は上がるが、使えるお金は減る」時代に
人手不足から人材確保のためにベースアップに踏み切る企業もあり、私たちが受け取る給与は増加傾向に。「しかし、給与の増加分を物価の上昇分が上回る状態が発生。実感として使えるお金は少なくなっているので、給与が上がったとしても節約は必須の時代です」(藤川さん)

27. 消費税10%時、家計負担は3%弱もアップ
消費税10%への足音が聞こえるこの頃。「5%から8%になり、“3%分の家計負担がキツイな”と実感中に、さらに2%アップの痛みは大きい。物価上昇も考えて、2.5%強の負担増くらいに感じる可能性が高いです」(藤川さん)

KEYWORD/消費税増税
消費税が10%に引き上げられるのは、2017年4月の予定(編集部注)

28. 消費税10%時に“便乗値上げ”は減る!
消費税8%へのアップ時に感じた「値上がり感」は、内税表示から外税表示に切り替えた際に“便乗値上げ”があったことも大きな要因。「10%への増税時は外税表示のままなので、“便乗”はそんなにないはずです」(藤川さん)

29. 働く女性にとって軽減税率は“歓迎すべき”
10%への消費増税時に、食品など生活必需品に限って税率を低くしようと検討されているのが軽減税率だ。「賛否両論ありますが、導入されれば確実に生活費負担は減ります。歓迎すべき策といえるでしょう」(藤川さん)

KEYWORD/軽減税率
消費税を10%にする際に、一般消費者や低所得者への対策として、食品、新聞、書籍など一部のものにかかる消費税率を10%ではなく、もっと低く抑えるという考え方。現在、導入を検討中だ

30. “一生稼ぐ力”がますます重要に!
物価上昇や増税に加え、年金支給年齢アップの議論など、この先、私たちの負担は確実に増える。「定年まで仕事を辞めないことが、働く女性の常識になります」(井戸さん)。資格取得や専門スキルなど、一生働ける力を磨こう!

この人たちに聞きました
藤川 太
藤川 太さん
FP
「家計の見直し相談センター」で10年以上にわたり、1万5000を超える世帯の家計の見直しを行う。資産運用、家計管理などに精通し、「普通の人」でもお金を貯める・ふやせる方法をアドバイスしている。『小遣いは削るな!』(サンマーク出版)など著書多数

井戸美枝
井戸美枝さん
社会保険労務士、FP
生活に身近な経済問題や、年金や社会保障問題などについてアドバイスする。13年から厚労省・社会保障審議会・企業年金部会委員も務める。著書に『世界一やさしい年金の本』(東洋経済新聞社)、『知らないと損をする国からもらえるお金の本』(角川SSC新書)などど

丸山晴美
丸山晴美さん
FP
消費生活アドバイザー。旅行会社、コンビニ店長などを経て独立。ケチではない楽しい節約をモットーに、身の回りの節約術を指導している。「すごくわかりやすい!お金の基本」(宝島社)、「誰でもすぐできる年間100万円トクする本」など著書多数(宝島社)

取材・文/中尾美香

※金利などの情報は14年10月24日時点のもの

※日経WOMAN2014年12月号掲載記事を転載
この記事は雑誌記事執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります