世界のこぼれ話やびっくりニュース、先進事例を翻訳家の上野陽子さんが解説する連載がスタート。今回は、失恋の痛手についての面白調査をお届けします。一緒に覚えたい英単語もオマケでご紹介!

 失恋したブリジット・ジョーンズが、大きなアイスクリームをスプーンですくって泣きながら食べたり、セックス・アンド・ザ・シティのキャリーがひざを抱えて泣き腫らしたり……泣くのはいつも女性のはずでした。ところが最近、“失恋の傷が深いのは男性”だという研究成果が発表されました! 今回はワシントンポストに掲載された記事から、男女の失恋の痛手度数を探ってみましょう。

失恋直後は女性、10年後は男性に痛手

 この10月、「失恋の痛手」についての研究が発表*されました。ロンドン大学とビンガムトン大学の研究者が96か国5705人を対象に調査したもので、被験者のうち75%は別れの経験があり、そのうち75%は複数回の失恋経験者です。

 そこに見られたのは、男性よりも女性のほうが、別れた直後に精神的なショックが大きいという特徴でした。女性はPRG(ポスト・リレーションシップ・グリーフ=失恋の哀しみ)のレベルが圧倒的に高く、心身ともにボロボロの状態。これが、失恋した誰もが経験しているであろう、この世の終わりを迎えたような気持ち、というわけです。

 ところが女性の場合、自分の傷を癒す時間を設けると、比較的あっけらかんとその傷から回復できるのだそうです。昔ほど、男性との別れや離婚が女性の不利な条件にはならないため、ぐちゃぐちゃと悩むよりも、別れてしまったほうがむしろサッパリするのかもしれません。

 対する男性は、コロッと女性を変えてなんの痛手もないように見えるもの。ところが、社会的に強くあるべきだとされるがために充分に落ち込む時間も許されず、別れを引きずりがちになります。さらに、最近はむしろ別れた男性のほうを責める声もあるなど、別れは男性の優位には働きません。こうして男性は、失恋状態によっては10年たってもまだ傷を引きずり続けるというわけです。

 人類学者のクレッグ・モリス氏によると、女性は「過去の恋愛経験は過去のもの」として語ることができるそうです。だって「もう終わったこと」ですから。ところが、男性にとっては決して“終わりを迎えた”話ではなく、常に会話に葛藤がみられるのだとか。

 ある60代の男性は、女性と別れて40年たってもまだ彼女との会話を思い浮かべたり、恋愛感情がぶり返したりすると話していました。ある人は彼女に浮気をされ、別れた後ももときどき体が麻痺したような感覚に襲われたとか。それは、結婚をして孫がいても、まだ癒えない傷なのです。

 では、女性はどうでしょう。