揶揄や侮辱を一笑に付す度量を持つ女性

 小池さんの都知事就任について海外の記事に目を通すと、まずは経歴に注目していました。ニューヨークタイムズでは、「性別を関係なくして、エジプトのカイロ大学を卒業とは珍しい」と報じています。この学校はアラファト議長など、アラブのリーダーを多く輩出。近隣諸国での紛争絶えない地域に留学し、海外に目を向ける女性政治家に、従来の日本的な政治家と異なる視点を期待しているのでしょう。

 そして、BBCニュースが注目したのは、小池さんに浴びせられた「裏切り者」「厚化粧」「女装したタカ派の男性」といった言葉でした。日本の国会や政治家の発言では日常的に聞かれるヤジや中傷のような表現を、BBCの記者が「侮蔑や性差別発言」とタイトルをつけ「近年最悪のキャンペーン」としています。

 ところが、こうした発言を小池さんは笑い飛ばして、「もう慣れっこですから」とうまくあしらい、むしろ株をあげました。日常で聞いたら驚くような差別的な言葉を平気で浴びせかける日本の政治家の慣習。日本の政治家同士では当たり前でも、対外的にも日本の一般社会でも冷ややかな視線で見られています。巧みにかわす小池さんが一枚上手。好意的に取られたといえるでしょう。

 CNNでも小池さんに好意的な報道が見られます。日本社会では、政治でもビジネスでも男性が支配的であること。世界経済フォーラムが男女の均等性を指数化した「ジェンダー・ギャップ指数」のランクは145カ国中101位。女性の国会議員の割合は9.5%にすぎません。そんな中で女性が東京という大都市のトップに立ったことに、今後を期待しているようです。

 そして、世界の一番の期待はやはり、オリンピックの財政立て直しです。