こんにちは。著述・翻訳家の上野陽子です。最近、アジア人であることを理由に理不尽な扱いを受けた人たちの記事を目にします。今回は、差別とも見える海外のニュースをもとに、私たちの身に起きたとき、どのような対処をしたらいいかを考えてみましょう

断られた理由は「アジア人だから」

 以前、台湾人の友人から、こんなお話を聞いたことがあります。

 神様がクッキーを焼いていました。1枚目は焼き時間が少なくて白っぽく仕上がってしまいました。そこで、2枚目を作ると今度は黒く焦げてしまいました。今度こそと3度目に挑戦したら、ちょうどいい焼き色に仕上がりました。それが、アジア人でした。

いろんな色のクッキーがあってもいいじゃない (C) PIXTA
いろんな色のクッキーがあってもいいじゃない (C) PIXTA

 「アジア人が一番いい具合」という都合のいいお話に、どこか違和感を持った記憶がありました――。

 さて先日、ハフィントンポストで「アジア人だから」という理由で、米国で宿泊を拒否された女性の記事を読みました。それは、一般の人たちの自宅や別荘などの貸し出しを取り次ぐAirbnbというサイトを介しての出来事です。

 その女性は、一般家庭に宿泊を申し込み、その場所へ向かう道中、突然宿泊を拒否されるショートメールを受け取り、路頭に迷ってしまいます。ホストは、女性のプロフィール写真を見てアジア人だと判断して拒否したのです。

 この件では、ホストが「アジア人だから断る」と、人種が理由であることをショートメールに明記していました。そのため、公に「差別」だと認められて反響が起こり、Airbnb社はそのホストの登録を解除し、永久追放しました。

 「なぜこんな仕打ちを受けるのだろう?」と疑問を持たざるを得ない出来事は、まだまだたくさんあります。