今年1年で30万人の移民を受け入れ準備

 その一方で、トルドー首相は難民受け入れの拡大を目指しています。難民に対して「迫害、テロ、そして戦争からから逃れようとしている人たちへ」「信仰に関係なく、カナダ人はあなたたちを歓迎します」とツイート。そして2017年には30万人の移民受け入れが可能だとして、難民4万人も含める方針だそうです。

 ただ、フランスでの大規模テロ後、難民に紛れて欧州諸国にテロリストが入国した経緯から、男性の受け入れには慎重。男性単独の入国には特に警戒するなど、受け入れに反発する国民にも示しを付ける厳しい側面も見せています。

 そして、移民受け入れのツイートの後に、カナダ東部のケベックのイスラム系モスクで銃の乱射事件も勃発。白人の人種差別主義者によるものと見られているようです。これに対してトルドー首相は「イスラム教徒に対するテロ行為を非難する」という声明を出しました。

カナダの動きがアメリカに好影響をもたらすことになれば…… (C) PIXTA
カナダの動きがアメリカに好影響をもたらすことになれば…… (C) PIXTA

 最大の貿易相手国であるアメリカとはうまくやっていきたいはずのカナダ。トルドー首相とトランプ大統領のスタンスの違いによる摩擦は、隣国として上手に解消し、願わくばトランプ大統領の思考にも影響をもたらしてほしいものです。

文/上野陽子 写真/PIXTA

修正履歴:記事内小見出しを一部修正しました(2017年2月3日)