放送禁止用語まで叫ぶマドンナ
ワシントン・ポスト紙によると、トランプ大統領の就任式の日はバスを駐車する許可申請200台ほどだったものが、翌日のデモには1200台分の申請があったとされています。輝かしいスタートを切るはずの就任演説を聞くよりも、デモ参加者のほうが多いかのような数字です。マイナスイメージがつきまとう今回の大統領就任。トランプ氏が使った就任演説らしからぬ「Carnage(大虐殺)」という言葉がクローズアップされましたが、それと並んで、「反トランプ・デモ」も注目ポイントの一つだったと思います。
さて、デモの壇上で高揚したマドンナは、米国では放送禁止用語とされる罵り言葉(=F word)を叫び、CNNなどニュース番組が慌てて場面を切り替えるなどの騒動に。そのため、「ワシントンハウスを爆破……」の注目のくだりが生放送できなかった局も見られたなど、ちょっとしたハプニングもありました。さらにマドンナは、こんな言葉で呼びかけています。
「危険に脅かされている女性だけでなく、社会から取り残されたすべての人たちがここに集まりました」
「最後に勝つのは善です」
「自由になるため、平等であるため、差別と闘おう」
「ここから革命がはじまる」
「私たちは“愛”を選ぶ!」
エマ・ワトソンやヒラリーも口にした“マヤ・アンジェロウ”とは?
そして、デモ参加者たちが声に上げたのが、公民権運動への貢献で知られる黒人女性、マヤ・アンジェロウの詩「Still I Rise(それでも私は立ち上がる)」の一節です。デモの舞台上でも、グラミー賞アーティストのアリシア・キーズが詩の朗読をしました。
視線で切りつけられても You may cut me with your eyes,
憎しみで殺されたっていい You may kill me with your hatefulness,
それでも私は、空気のように、立ち上がる But still, like air, I’ll rise.
(※マヤ・アンジェロウ作・Still I Riseの私訳)
マヤ・アンジェロウは、かつてキング牧師らと公民権運動をしたアメリカの活動家で詩人です。ビル・クリントンのアメリカ合衆国大統領就任式にて自作の詩を朗読したこともありました。
ここには「何があっても、信じることのために戦う」……そんな思いが込められています。そして、マヤの詩や言葉の重みをかみしめた一人が、ハリー・ポッターで人気女優となったエマ・ワトソンでした。
エマは、国連のWomen Goodwill Ambassador(女性の権利主張をする大使)に任命されています。トランプが勝利宣言をした11月には、ニューヨークの地下鉄の駅に、マヤ・アンジェロウの本「Mom & Me & Mom」を置いて回る活動をし、インスタグラムに自ら本を置く姿の写真を掲載。今回のデモでも大きな声を上げました。
実はヒラリー・クリントンも、選挙中の3月に「妊娠中絶の罰則」などを掲げたトランプに対して、マヤ・アンジェロウの言葉を引用して避難していました。
「『誰かが本性を見せたとき、そういう人なのだと信じることです』。トランプは言葉を引っ込めましたが、私たちは彼が声高に叫んだのを聞いています」
2014年に他界したマヤ・アンジェロウですが、生きていたなら、きっと行動を起こしたはず。マヤも今回のデモを支える代表者の一人といえそうです。
そして、デモ支持を表明して、むしろ非難されているセレブもいます。