全てが前向きに動き出す心持ちとは

 ドウェック氏は、「できない」ことを「できない」と捉えずに、「まだできていないだけ」と捉えることを提唱しています。

 物事が単純にうまくいっているとき、「能力がある」「頭がいい」「自信にあふれている」といったことは有効に働きます。問題は、挫折を味わったり挑戦することを迫られたりしたときに、どのように対処するかです。

 そこに必要なのは、単純に「なんとかしよう」「できる」というマインドセット。つまり、困難を受け入れながらも前に進もうとする心持ちです。成功している女性の共通点は、「成長型マインドセット」であることが多く、困難をいかに対処するかに長けているのです。

 ドウェック氏は、「起きた問題や失敗の定義を、変えること」がカギであると話します。例えば、「失敗とは、うまくいくための情報を与えてもらったこと」と、定義を変えてみると、失敗は悪いことではなくなります。つまり「こうしたらできないんだ」と、ヒントを与えてもらったように捉えるわけです。

 発明家、トーマス・エジソンがこんな分かりやすい名言を残しています。

「私は失敗したことがない。ただ、1万通りの、うまく行かない方法を見つけただけだ」

 エジソンは、何度も失敗を繰り返して蓄音機や電灯の事業化の成功など、さまざまな発明をしました。でも、1万回の失敗ではなく、「こうすればうまくいかないということを1万回発見した」というわけです。そして、こんな言葉を残しています。

「私たちの最大の弱点は諦めることにある。成功するのに最も確実な方法は、常にもう1回だけ試してみることだ。」

 「よし、腕の見せ所」と前向きに問題に取り組むのは、そう簡単なことではありません。でも、常に「もう一度」とほんの少し心持ちを変えてみること。これで成長型マインドセットになり、前向きになれた脳が能力を発揮してくれます。

 服装をパリッとさせる、ナチュラルな化粧で美しく凛と見せる、そうした外見も大切。でも、仕事に向き合う姿勢と心持ちが、能力以上の自信と輝いた表情に生み、人を惹きつけます。すると、周の人や起こることを大切にするようになり、必ず成果につながります。

 仕事で女性が勝ち残っていくためには、どんな足のひっぱりあいがあっても、停滞型の男性陣の中にいるときでも「成長型マインドセット」を持つこと。ポジティブな人の周りには、人も情報も仕事も集まってきます。

[参考資料]
Forbes for woman, Why Attitude Is More Important Than IQ, Jan 2016,
Carol Dweck , Growth Mindset, TEDxNorrkoping Nov 2014

文/上野陽子、写真/PIXTA

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