トランプの意思決定に影響を及ぼす娘婿

 トランプの選挙戦に大きく貢献し、重要な人事、戦略、演説、資金集めなどの分野でアドバイスを提供してきたのが、娘婿のクシュナー氏です。

ジャレット・クシュナー 1981年生まれ(36歳)

 イヴァンカの夫クシュナー氏は、ハーバード大学を卒業後、ニューヨーク大学で法学の学位と経営学修士(MBA)を取得。父が脱税や違法献金などで2年間の実刑判決を受けると、不動産開発企業クシュナー・カンパニーズの跡を継ぎます。25歳のときに買収した週刊紙「ニューヨーク・オブザーバー」の発行人でもあり、26歳のときにはマンハッタンの5番街の高層ビルを41億ドルで購入する案件を手配。ビル売買金額としては当時の米国史上で最高額の取引でした。

 不動産業界で成功をおさめる上にモデルのように容姿も端麗。2007年にビジネスランチでイヴァンカとは出会うと2009年に結婚し、現在は3児の父親でもあります。

 物腰や発言の柔らかさで、選挙戦ではトランプのフォローにまわる活躍を見せ、トランプは「政治でも彼は優秀だ」とその手腕を高く買っています。ところが、縁故採用禁止法によって大統領が家族を政権に加えることができないため、今後は大統領上級補佐官となる予定。トランプの意思決定に大きく影響を及ぼす人物の一人とされています。

 その弟のジョシュア・クシュナー氏もハーバード大学ビジネス スクール卒業のエリート。ゴールドマン・サックスを経て独立し、インスタグラムへの投資で成功しています。また、モデルなみのルックスであり、さらにモデルのカーリー・クロスと交際中として、注目を集めています。

 イヴァンカとクシュナー氏の家族も、ワシントンのホワイトハウス近くに引っ越したものの、メラニア夫人は息子バロンの学期末までニューヨークに残るとされています。ファーストレディはむしろイヴァンカでは……との声も聞かれる中、いよいよ世界が注目し警戒するトランプの大統領就任となります。

改めておさらい!
ドナルド・トランプ(Donald Trump)
実業家。1946年、ニューヨーク生まれ。70歳
父親から不動産業を引き継ぎ、カジノやホテル、ゴルフ場などの経営にも参画し、「不動産王」と呼ばれる。マンハッタンの5番街などに豪華ビルを持ち、自宅はそのうちのひとつ「トランプタワー」。自らが出演するテレビ番組でさらに知名度を高めたが、政治経験はない。2016年11月8日大統領選で勝利宣言し、2017年1月20日に第45代米国大統領に就任する。

文/上野陽子 写真/ZUMA Press/アフロ