じょごとお吟は御用宿・柏屋で一旦保護され、聞き取り調査の後、東慶寺に入山することになります。柏屋の三代目主人の名前は源兵衛(樹木希林)。女性ですが、名を受け継いでいます。

源兵衛に保護されるじょごとお吟。
源兵衛に保護されるじょごとお吟。

 柏屋には源兵衛の甥・信次郎(大泉 洋)が居候しています。見習い医者でありながら、駆け出しの戯作者でもある信次郎。いつか曲亭馬琴(山﨑 努)のような戯作を書きたい彼にとって、柏屋は資料の宝庫かつ、人間を知る絶好の場所でした。

柏屋でさまざまな人生の勉強をする信次郎。
柏屋でさまざまな人生の勉強をする信次郎。

 信次郎は源兵衛と共に、離婚調停人のように、口八丁手八丁、奇抜な戦術で、男と女のもつれた糸を解き放ち、ワケあり女たちの人生の再出発を手助けしていくようになります。そんな信次郎は、顔に火ぶくれのあるじょごが気にかかり、彼女の手当てをします。

信次郎はじょごの火ぶくれの治療をする。
信次郎はじょごの火ぶくれの治療をする。

 そして、東慶寺への入山が決まるじょごとお吟。そこで2年間修行をすれば、離婚成立が認められるのです。信次郎に心を開いたじょごは、彼の影響で薬草を学ぶようになり、とても前向きに修行に励みます。一方、お吟が入山を決めた本当の理由が明らかになっていきます……。

 源兵衛と信次郎がつらい境遇の女性たちの味方となり、斬新なアイデアで、今で言う離婚調停を女性に有利に運ぼうとする姿が痛快! 特に、歌うような滑らかな口調で早口にまくし立てる信次郎の話術は圧巻です。こんな人がいたら、再出発を考える女性たちにとっては、とても心強かっただろうなと思いました。

 豪華キャスト共演の本作は、すごく楽しめるエンターテインメント作品であり、非常に勉強にもなり、感動も味わえる傑作映画です。離婚は心身共に消耗する大変なことですが、乗り越えれば新たな未来が待っていると感じられる、素敵な作品だと思います!