それでは映画のストーリーを紹介します。
高校生の大助(神木隆之介)は、同級生のひろ美(森川葵)に片思いをしており、修学旅行が彼女に近づく絶好のチャンスだと期待していました。
ところが不慮の事故に遭い、大助が目覚めると、そこは深紅に染まった空と炎、ドクロが転がり、人々が責め苦を受ける、本物の“地獄”でした! 全く訳が分からず混乱する大助の前に、地獄農業高校の軽音楽部顧問で、地獄専属ロックバンド“地獄図(ヘルズ)”を率いる赤鬼のキラーK(長瀬智也)が現れ、地獄のルールを説明します。
なんとしてでも現世に戻って、ひろ美ちゃんと会いたい大助。えんま様(古田新太)の裁きにより、現世に転生するチャンスがあると知った大助は、生き返るためにキラーKの“鬼特訓”を受けることにするのですが……。
大助がとにかくポジティブで、地獄に落ちようとも大して気に病むこともなく、現世に戻るという目標に向かってまっしぐらなのが清々しいです!
地獄で繰り広げられる音楽バトルには、有名なミュージシャンが次々と登場(誰が出るかは見てのお楽しみ)。キャストも豪華で、宮沢りえさんも思わぬところで姿を見せます。
どうしてこんなに楽しい地獄を思いつくことができるんだろう、と宮藤監督を尊敬しながら楽しんで観ていると、グッとくるセリフや展開に思わず泣かされたりして……。「これぞエンターテインメント!」と思える傑作なので、ぜひ日常を忘れて“宮藤流・地獄”で遊んでみてくださいね♪
2010年から295回続いた当連載も、ひとまず今回で休止となります。今後も、時々サイト内のどこかで書かせていただくことがあると思いますし、7月からはNIKKEI STYLEで映画連載をスタートしますので、どうぞよろしくお願いします。
長い間、「女子による女子のための映画・DVDガイド」をご愛読いただき、本当にありがとうございました。これからも、映画がみなさんの元気のもとになりますように!
文/清水久美子 撮影/小野さやか