――今回のような主演作品の場合、現場を盛り上げたり、引っ張っていったりなど、何か特別に気を配ったりしますか?

 「昔はそんな風に考えていましたが、今は無理して気張っても仕方ないと思うようになりました。ただ、コミュニケーションはたくさんとりたいと思いながら撮影期間を過ごしましたね。小倉(久寛)さんも吉田(栄作)さんも、以前にも共演させていただいたことがある方々なので、気持ち的にすごく楽でしたし、広瀬アリスさんや石田ひかりさんも初めてだけど、とても話しやすくて、みなさんに助けられる現場でした」

――玉木さんのミタライ・シリーズは、今後も観ることができるのでしょうか?

 「どうなんでしょう。公開後の反応次第だと思いますが、僕はちょっと怖い気もします。というのは、僕は一つの作品が終わったら、全然違う方向に自分自身を振りたいと思うタイプなんですね。次の作品に入るには、自分の中に作ったものを壊して進むという作業が必要だと思うんです。一つの役に定着しすぎて、そこから離れられなくなると、次に進めないような気がするので……。ミタライ役に僕を求めていただくのは、とてもありがたくてうれしい反面、怖いというのも正直な気持ちです」

――玉木さんは、現場にいるのがお好きですか? 常にお仕事をしていたい方ですか?

 「うーん、休みは休みで必要だと思います。仕事をしている環境はアウトプットの場で、プライベートの時間はインプットの時間だから、どっちもないとダメですね」

――どんなものからインプットされることが多いですか?

 「人からですね。自分と同じ職業以外の人たちと触れ合うと、それぞれの流儀というか考え方やこだわりがあるから、そういう話を聞くことは良い刺激になるし、新しい発見があります」

――俳優のお仕事を長く続けていらっしゃいますが、どんなことが原動力になっていますか?

 「芝居の仕事は、環境がよく変わるので、いろいろなところに行かせてもらうことができるし、一緒に仕事をする人も頻繁に変わるので、新しい場所での新しい出会いが原動力になっているかな。インプットの話と重なりますが、何か刺激を受ける時って、全て人発信だと思うんですね。若くても実力がある人もいるし、年齢を問わず、さまざまな人から教えてもらえることが僕の原動力だと思います」

――ありがとうございます! では最後に、映画「探偵ミタライ~」のお薦めポイントと、読者にメッセージをお願いします。

 「そうですね、映画を観るというのは、暗い空間の中に2時間ぐらい身を置くことで、異空間に連れて行ってくれるものだと思うんです。旅をしたくても、忙しいとなかなかできないけれど、この映画には広島県福山市の美しい自然の魅力が詰まっているから、それを堪能できるし、上質なミステリーを楽しみながら観てもらえる作品になっていると思います」

 「みなさん、仕事をしていると疲れたり、嫌な思いをすることもあったりしますよね。そんな時は、大きくなくていいので、小さい目標を立てて、それをクリアすることで、気持ちが救われたりするんじゃないでしょうか。そうしていくうちに少しずつ嫌なことも消えていくと思うので、ぜひやってみてください!」

撮影/小野さやか