「ルーム」来日記者会見レポート

 3月22日、都内で開かれた記者会見に26歳のブリー・ラーソンと、9歳のジェイコブ・トレンブレイが登壇。「ルーム」は、本年度のアカデミー賞でブリーが主演女優賞を受賞したほか、作品賞、監督賞(レニー・アブラハムソン)、脚色賞にもノミネートされました。原作は世界で大ベストセラーとなり、英国で最も権威ある文学賞ブッカー賞の最終候補作に選ばれた、エマ・ドナヒューの『部屋』。ドナヒュー本人が脚色を担当し、原作のスピリットを守りながら、映画にしかできない表現への大胆な変更が称賛されました。

 6歳で演技を始めたブリーは、26歳の若さで、すでに20年のキャリアを誇ります。私は以前から彼女を海外ドラマで見ていたので、「若い女優がいきなりオスカーを?」という印象を抱くことなく、受賞に納得できました。

 そして、5歳から映画やテレビの仕事をしているジェイコブ君も天才子役! 会見に現れるなり、「僕とブリーで、みなさんの質問にできるだけ答えるからね」と、とても慣れた様子で語り、会見場は笑顔に包まれました。

 質疑応答が始まり、早速手を上げた私は幸運にも一番に質問権をゲット!

 「『ルーム』は本当に素晴らしい作品でしたが、誰にでも演じられる役ではなく、お二人だからこそ、感動が伝わる傑作になったのだと思います。お二人は早くから役者としてのキャリアをスタートされましたが、『ルーム』のような作品で名演技を披露することができたのは、早いスタートがどのくらい良い効果をもたらしたと思いますか?」

 この質問にブリーは、「自分の選択で、6歳から演技の仕事を始めたの。情熱があったからこそ、これまでやってきたし、小さい頃から演技が人の持つ感情の色彩を表現できる術であると思っていたのよ。ジェイコブも、クリエイティブな力を持っている役者だと思う。『ルーム』では、彼の表現力をみんなで支えなければと思ったし、彼を“子役”として扱うのではなく、彼自身の役者としての声・色が発揮できるようにサポートしようと努めたわ」と回答。

 6歳ですでに自分のやりたいことを選び、情熱を持ち続けているなんて、本当にオスカーにふさわしいと思いました!

 ジェイコブ君は、「僕が『ルーム』に出た時は、まだ8歳で(映画は)3作目だったから、ブリーのようには言えないけど、演技の仕事を早く始めたことは助けになっていると言えるね。(これまでに出演した作品の内容を考えて)ハッピー、シリアス、ホラー、スーパーハッピーな作品で演技してきたから、それらを足したのがジャックの演技かな」と、しっかり分析してくれました。

 「ルーム」の役作りについてブリーは、「演じた役柄は、自分の経験とはかけ離れていた。特に大きな違いは、親であることと、性的虐待を受けていること。どちらもとても複雑な事柄なので、真実に迫る表現をしないといけないと思い、準備に8カ月かけたわ」と語り、「本作は、リスクを負っても大きな世界へ飛び出すことで、余すことなく人生を生きることを覚え、成長していくことを描いている。実際に私達の人生でも起こりえることなので、共感を呼ぶんだと思うわ」と、本作が世界中で高い評価を得ている理由についてコメントしました。

 「桜の季節に来日することを楽しみにしていた」というブリーと、インスタグラムに来日中の写真や動画をアップし、「星野源の曲『SUN』を動画のBGMに選んだ」ジェイコブ君。本物の桜が用意された会見場で、二人は笑顔でフォトコールに応えました。

取材・文/清水久美子

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