――本作には、1988年という過去のシーンが出てきますが、お二人が出演されていない、子役たちのシーンが入った完成した映画を観た感想は?

藤原「監督が、とてもうまくまとめてくださったなと思いました。原作にもある、小学校時代の懐かしさや温かさに、自己投影できるような思いがあって。子どもたちが主役と言ってもいいくらい、素晴らしい表現をしていましたね。ストーリーが面白いのはもちろんのこと、非常に温かみのある作品に仕上がっていると思いました」

有村「小学校時代のパートがどんな風になっているのか、観るのがとても楽しみだったのですが、観てみたらフワッと包み込まれるような、何とも言えない気持ちになりました。悟の子ども時代を演じた中川翼君や、雛月加代役の鈴木梨央ちゃんが本当に素晴らしいお芝居をされていて、美しいものを見せていただいたなと感じられる映画でした」

――お二人は、これまでさまざまな役を演じられてきましたが、観客や視聴者から「こんな役を演じてほしい」と期待されることも多いと思います。「その期待に応えたい」という気持ちと、「期待を裏切ってでも枠から飛び出したい」と思う気持ちのどちらが強いですか?

有村「そうですね、期待というか想像を超えるようなお芝居をしたいと思います。『ビリギャル』では、新しい自分を発見したような感覚になりました。演じている間、気持ちがずっと高揚していたので、家に帰ると気が抜けたような感じになりましたが、枠を超えたことで、毎日すごく楽しかったです」

藤原「僕は、周りからどう思われるかについてはあまり考えない方かもしれません。どう思われるかということを遮断して演じないと、先に進めないことがありますからね。周りの意見をあまり気にせず、『これでいいんだ』と思って現場に入るようにしています」

――有村さんは一昨年、舞台「ジャンヌ・ダルク」に出演されましたが、今後は舞台出演のご予定や、出てみたいというお気持ちはありますか?

有村「今のところ予定はないのですが、舞台もすごく楽しかったので、またぜひやりたいです!」

――藤原さんは舞台の大ベテランですが、先輩として有村さんに、何か役に立つアドバイスはありませんか!?

藤原「そんなのないですよ~。やらないのが一番ってことくらいかな(笑)」

――えー、せっかく有村さんが、ぜひまたやりたいと言っているのに(笑)。藤原さんは、いつも舞台に戻られているじゃないですか~。

藤原「仕方なく戻っているんです(笑)。まあ、それは冗談として。演劇は演劇で本当にいいものですし、素敵な出会いもありますしね。まだ手を出していない戯曲もたくさんあるし、優れた演出家のもと、才能のある人たちと一緒にやる意味は、僕は非常にあると思います」

――ありがとうございます。では最後に、お二人にとって、役者というお仕事を長く続けていく上での原動力を教えてください。

有村「私は演技のお仕事が好きで、楽しいから頑張れるんだと思います。作品をやっていて、周りのスタッフさんや身近な人たちの心を動かせた時が、すごく嬉しいですね。もちろん観てくださる方に伝えたいという思いはありますが、一番近い人の心を動かせないと、たぶんスクリーンやテレビの画面を通して、観客に伝わらないと思うんです。なので、周りの人に良かったと言ってもらえることが原動力になっていると思います」

藤原「それはあるよね。やっぱり作品を観てもらわないことには始まらないですからね。面白かったと言ってもらえたら一番だけど、評価されてもされなくても、多くの人に観てもらえることが原動力というか、次もやってみようと思える力になっているんじゃないかなと思います」

文/清水久美子 写真/杉 映貴子

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