フランチェスコはセレーナにとても親切。彼女は「このまま彼とうまくいくのでは!?」と期待します。ところが、フランチェスコがゲイだと分かり、あえなく失恋……。

フランチェスコが性的魅力を感じるのは男性だったと知りガッカリ!
フランチェスコが性的魅力を感じるのは男性だったと知りガッカリ!

 恋愛関係ではなく、友情で結ばれるセレーナとフランチェスコ。彼は親友になったセレーナが狭い部屋に住んでいると知り、自分の家に住むようにと彼女を誘います。

セレーナは、立ち上がると天井に頭をぶつけるほど狭い部屋に住んでいた
セレーナは、立ち上がると天井に頭をぶつけるほど狭い部屋に住んでいた

 そんな折、公営住宅のリフォーム建築案の公募を知ったセレーナ。住民に話を聞いて親しくなり、リサーチを重ねた彼女は、彼らが暮らしやすい空間を設計しようと奮闘します。そして、セレーナは絶対の自信を持って建築案を提出しようとしますが、男性しか相手にされないと知り、セレーナ・ブルーノをひっくり返して、“ブルーノ・セレーナ”という名前の男性の案として提出。自分はアシスタントだと名乗り、フランチェスコに“ブルーノ”のフリをしてもらおうとするのですが……。

直接会うとボロが出るので大阪に出張中に見えるように“細工”してスカイプで話す“ブルーノ”
直接会うとボロが出るので大阪に出張中に見えるように“細工”してスカイプで話す“ブルーノ”

 本作には、女性のリアルな仕事事情や恋愛事情が赤裸々につづられています。優秀なのに、女だというだけで「妊娠したら休むんだろうから、その時点で解雇」などというひどい言葉を投げつけられたり、妊娠したことを上司に隠し続けるしかなかったりする女性も登場します。「いいオトコだと思ったらゲイだった」ということも、昨今珍しいことではないですよね。

 不条理な状況の中で、どうにかして道を切り開こうとするセレーナの姿がコメディータッチで描かれる本作は、たくさん笑って、たくさん共感して、勇気をもらうことができます!

上司に尽くしすぎる秘書に納得がいかないセレーナ
上司に尽くしすぎる秘書に納得がいかないセレーナ

 セレーナを演じるパオラ・コルテッレージと、フランチェスコ役のラウル・ボヴァは、イタリアの人気俳優。二人は、それぞれとても魅力的に好演しています。ちなみにラウルは、普段はセックス・シンボル的なイケイケ男性を演じることが多いため、本作の繊細なフランチェスコ役でイタリアの観客のイメージを打ち破ったそうです。

 働く女性の悩みは、どこの国でも同じなんだなぁと実感しつつ、セレーナのように何か行動を起こすことが大切だと痛感しました。日経ウーマンオンラインの読者に、ぜひ観てほしい傑作映画です。