手帳のプロに悩みを相談してきた

「本当にきれいに書かれていますね!」

 私の「きれいに書きたい病」について話し、手帳を開くと、伊庭さんはそう言って褒めてくれました。

 「手帳を埋めることが目的ではないので、書くことがなければ、真っ白でも構わないんですよ。ただ、ずっと原稿を執筆されていたのなら、『執筆』と書いておくといいと思います」(伊庭さん)

 作業内容を書いておくことの重要性を、

 「時間を『ブロック』しておくことが大切なんです。『この日は執筆をしなければいけない』と頭では分かっていても、手帳に何も書いていないと、うっかり別の予定を入れてしまうかもしれません。走り書きでもいいし、線を引いておくだけでもいいので、ダブルブッキングを防ぐために何かしら記入しておいたほうがいいと思います」と伊庭さん。

 伊庭さんの場合、予定が仮の場合は矢印を引いておき、確定したら四角で囲む、というルールにしているそうです。私も、一度自分なりの手帳の書き方を作っておくと、もっと楽に続けられるのかもしれません。

 「私は自分のことを信用していないんですよ」と伊庭さん。「人の記憶って曖昧ですし、勘違いも多い。1週間後の自分の予定なんて、全く覚えていないですよ。だから、手帳に書いておく。そうすれば安心して忘れていられます」

 先週何をしていたのか、真っ白な手帳を見ても思い出せません。一方、伊庭さんの手帳は、3週間どころか半年先の予定が書き込まれたページも。「家族旅行」「海外出張」など、動かせない予定は決まった瞬間に書き込むのだそうです。

「きれいに書くことを後回しにして、『予定が入る → 手帳に書く』という行動をワンセットで考えてみてください。電話をしながらでも、その場でささっと書いてしまう。『後で転記しよう』は忘れるもとです。消せるボールペンで書かれているのなら、どうしても気に入らなければ後で書き直すこともできます。まずは『すぐに書く』習慣を付けてみてはどうでしょう」