いくら払えばいいの?

 次に気になるのは損害賠償の額(修理代をどの程度負担するか)。いくら払えばいいのでしょう? 被害発生前の状態にまで損害を回復すればいいというのが基本的な考え方です。例えば天井板にシミができた場合、天井板の耐用年数を基に今の価格を算定し、元に戻すのに必要な額を支払うことになります。

 とはいえ、漏水がなければ天井板を張り替える必要はなかったわけですから、張り替えにかかったお金を全額支払うケースが多いでしょうね。高額になることもあるので、個人賠償責任保険に加入しておくといいと思います。一方、慰謝料を払う必要はないでしょう。なぜなら、慰謝料は原則、心が痛んだことによる精神的な損害に対して支払われるものだからです。

 賠償金を支払うときは相談者が示談書を作成し、署名押印をして、お互いに1通ずつ持っておきましょう。「今回の漏水による紛争は本示談によりすべて解決済みである」という内容の文言を入れておけば、今後のトラブルを防げます。

Q. 配水管の水漏れ、私がお金を払うべき?

A. 修理代を払う必要アリです

この人に聞きました
大沼五月
大沼五月さん
弁護士
早稲田大学政治経済学部を卒業後、1987年に司法試験に合格。2004年から平野・谷口法律事務所に所属。趣味は家庭菜園と宝塚の観劇。

取材・文/瀬戸久美子 漫画/ハラユキ 写真/PIXTA

日経ウーマン2017年4月号掲載記事を転載
この記事は雑誌記事執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります