12月2日(土)、12月3日(日)に東京ミッドタウンで行われた、ワーキングウーマンのためのイベント「WOMAN EXPO TOKYO2017 Winter」。その中でも盛況だったのが、女性ならいつかは選択を迫られる「妊娠」「出産」に関するセミナー。正しい妊活の知識と、今日から実践できることをお伝えします。

母体の栄養はとても大事

 セミナーは日本DOHaD学会代表の福岡秀興さん(早稲田大学ナノ・ライフ創新研究機構)の挨拶から始まりました。

 DOHaDという、まだ耳慣れない言葉はDevelopmental Origins of Health and Diseaseの略語で、「受精時や胎芽期、胎児期の子宮内および乳幼児期の望ましくない環境が病気の素因となり、出生後の環境との相互作用によって病気が発症する」という考え方を表す言葉です。最近大変注目されています。

日本DOHaD学会代表の福岡秀興さん
日本DOHaD学会代表の福岡秀興さん

 「出生体重2500g未満で生まれた赤ちゃんを『低出生体重児』といいますが、今増えており、その数は年に約10万人です。日本では昔から『小さく生んで大きく育てる』のがよいといわれてきましたが、実はあまり望ましくない考え方なんです。小さく生まれた低出生体重児は、糖尿病、メタボリック症候群や骨粗しょう症、高血圧、認知症などになるリスクが高まるという報告が多く出てきました」(福岡さん)

 低出生体重児が増えている背景にあるのが、妊娠可能な年齢の女性の「痩せ」や、妊婦さんの「低栄養状態」です。現代の飽食の日本で、「低栄養状態」とは驚きますが、何年にもわたってダイエットして栄養が偏っていたり、妊娠中も体重増加を気にするあまり食事を制限して……といった人がいるのも事実です。

 「実は、妊娠中だけでなく、妊娠する前の受精周辺期、特に妊娠する約100日前からの栄養状態が重要なのです。赤ちゃんの脳や神経などの重要な器官は、妊娠直後から形成され始めます。ですから受精時期に、お母さんの体に必要な栄養が足りていることが大切。そして、妊娠中の栄養状態は赤ちゃんの体重に影響します。低体重で生まれた赤ちゃんの健康のリスクは、将来的に自分、子ども、そのまた子どもと3世代にわたって影響を与えてしまうことも分かってきました。ですから、母体の栄養はとても大事であるといえます。元気な赤ちゃんを産みたい人は、赤ちゃんのためにもしっかり栄養を取ってくださいね」(福岡さん)