自分の影響力に気付き、「ご機嫌力」を磨く

 三つ目のテーマは、「これからの社会で活躍する人材になるために必要なこと」では、「まず自分の影響力を過小評価し過ぎている女性が多い」という及川さんの指摘から話が始まりました。自分の言葉や行動が周りに与える影響について、立ち止まって見渡してみることが大切です。

 「少し視点を広げて、自分の影響力の大きさに気付いてください。お母さんが機嫌よく元気であれば、家族が幸せになります。会社でも、自分がハッピーで感じよくいられるかどうかで、職場の空気がガラリと変わります。自分の気持ちの持ち方が、周囲に大きく影響するんです」(及川さん)

 影響力というと、偉い人だけが持っているもののように思えますが、そうではありません。「大事なのは、私たち自身が、どこの場面でも『機嫌よく』『感じよく』『元気よく』働ける、その姿勢です」と強調する及川さん。それは、「ご機嫌力」という言葉で表せるかもしれません。社会で活躍するために必要なのは、この「ご機嫌力」を発揮することなのです。

 しかし、誰しも聖人君子ではありません。頭にきたりイライラしたりすることはあります。そんなときはどうすればよいのでしょうか。及川さんは「ご機嫌力」を維持するためのコツも教えてくれました。それは、「視点を変えてみること」。

 「イラッとするような人が周囲にいるときは、少し想像力を使って、視点を変えてみてください」(及川さん)

 例えば、列に横入りされると、イラッとするものです。「そんなとき、もしかしたらその人が『ものすごくお手洗いに行きたい』という理由で、割り込むほど急いでのかもしれないと想像したら、優しい気持ちになれませんか?」

 及川さんのユニークな例え話に、会場は笑いの渦に包まれました。

「私は○○ができない」という減点主義からの脱出

 最後のテーマ「後輩世代の女性たちへのアドバイス」では、女性には減点主義的な傾向があることを指摘した及川さん。

 「何か仕事で重要な役割をお願いすると、『私には無理です』と尻込みする女性が多い。客観的に見てそのポジションに見合った能力があるからこそお願いしているのに、『いや、自分にはあれができない、これが足りない』と減点主義で自分を採点してしまっているんです」(及川さん)

 「できないことを数えるのではなく、挑戦したいことを数えたほうが楽しく生きられる。100点中30点しか取れなくても、その後70点分の伸びしろと可能性があると考えて」という、働く女性たちへのすてきな応援メッセージで、セッション前半は締めくくられました。