10月8日(日)に福岡国際会議場(福岡・博多区)で開催された「WOMAN EXPO FUKUOKA 2017」。幅広いテーマのセッションが行われる中、美と健康に関心の高い参加者が多く集まっていた会場が「食物繊維の選び方と取り方がカギ!! 腸から元気&キレイになる秘訣を名医が解説」という1時間のセッション。美しき名医としてしばしばテレビ番組にも登場する小林暁子さんと、小林製薬マーケティング部の白石千夏さんが、それぞれ「腸」と「食物繊維」に関する最新研究や日常生活への取り入れ方を分かりやすく解説してくれました。

小林メディカルクリニック東京の院長で、腸のスペシャリストでもある小林暁子さん
小林メディカルクリニック東京の院長で、腸のスペシャリストでもある小林暁子さん

 「『あなた別人みたいね』、母もそう言うほど、私はガラリと変わったんです」。こんな、自らの経験と研究結果を踏まえて、腸がいかに体調全般に関連しているのか教えてくれた小林さん。「腸のプロフェッショナル」として著書も出し、クリニックの院長も務める医師です。

 ところがそんな名医も、幼少期から長年便秘に悩まされ、疲れやすく、精神的にもネガティブに陥りがちだったそう。大学病院に勤めていた20代の頃は頻繁に肌トラブルが起こり、同僚の皮膚科医に相談しても、根本的な解決には至らなかったといいます。

 「その後もさまざまな体調不良が起きるうち、それらの原因が腸にあるのではないかと疑って、自分で腸内環境を整えるケアを始めました」

 その結果、腸内に100兆個も存在するという腸内細菌、特に善玉菌をしっかり育てて働かせることが心身健康のカギであることが分かり、実践。すると、便秘も肌トラブルも解消して、体力・気力に満ちた別人のように生まれ変わったというのです。

 実際マウスを用いた実験では、2種類のビフィズス菌が、うつ病の治療薬よりも不安とうつ状態に有効で、人においても、乳酸菌とビフィズス菌の摂取を続けると、血中のストレスホルモンの濃度が下がるという臨床試験結果が出ているということです。

善玉菌を取るだけではなく、エサを与えて育てよう

 「ビフィズス菌や乳酸菌の効果は以前から知られていますが、実は善玉菌を摂取するだけでは不十分でエサも大事」と小林さん。1000種類以上いるという腸にすんでいる細菌のうちの善玉菌にエサを与えて活性化することで、栄養素をきちんと吸収し老廃物をすっきり排出するという、腸の基本的かつとても重要な働きが機能するそうです。

 ここが働かなくなると必要な栄養の吸収が悪くなるだけでなく、悪玉菌が出す有害物質が血流で全身に回ってしまい、肌荒れや免疫力の低下、さらに大腸がんのリスクまで上昇するという研究結果も。

 「善玉菌が大好きなエサというのは『水溶性の食物繊維』です。これまで食物繊維といえばお通じをよくする不溶性のほうが注目されていましたが、実は水溶性食物繊維を菌たちに与えることで増殖したり、天然の『やせ薬』である『短鎖脂肪酸』(※)といった体にいい物質を作ってくれたりするんです」

※食事をする度に腸内細菌が短鎖脂肪酸を作り、全身の細胞に対して「ちゃんと栄養を取っているから必要以上にためなくて大丈夫」と教えるシグナルを発信。(腸内フローラ10の真実/主婦と生活社より)