60年前の日本人は「水溶性食物繊維」摂取の優等生

 昔の日本人は日ごろから精製度が低く食物繊維が多い穀類や根菜類、わかめなどの海藻をたくさん取っていたので、無意識のうちに必要量を上回るほどの食物繊維を摂取できていました。ところが、現代型の食生活へ変わっていくうちに劣等生に。60年前と比べて今では、食物繊維の摂取量は半分程度にまで減ってしまったのです。

 「特に最近、糖質制限ダイエットによって、日本人の体質に適している穀類からの食物繊維も不足気味。その結果、腸のトラブルになり、クリニックを訪れる患者様も増えています」と小林さん。

 しかしご自身も、野菜など栄養バランスよく食べるのはあまり得意ではないそう。そんな小林さんが実践しているのが、朝食と一緒にサプリで水溶性食物繊維を補うこと。

 「今日もよろしくね!と腸内細菌たちへ朝の挨拶代わりに、フルーツやグラノーラの朝食で食物繊維のエサをあげるんです。水溶性食物繊維は、食べ物からは少量ずつしか取ることができないので、サプリも併用します」

 また、白米と一緒に炊くことで主食として無理なく摂取できる大麦の一種「もち麦」も、不溶性・水溶性ともに食物繊維が豊富に含まれているのでおすすめとのこと。

小林さんに質問を投げかける、日経BP総研・主席研究員の西沢邦浩
小林さんに質問を投げかける、日経BP総研・主席研究員の西沢邦浩

 その後、日経BP総研・主席研究員の西沢邦浩から小林さんに「朝食を抜く人が増えていますが、腸への影響はどうなんでしょうか」と質問。

 「食欲が出ない人もいるでしょうが、少量でもいいのでとにかく朝、最初の食事で食物繊維を取ることが大事です。セカンドミール効果(※)で、その後の食事でも血糖値の上昇を抑えてくれます」

 腸内細菌は約6時間~8時間かけて短鎖脂肪酸を作るので、朝のエサが昼や夕方に効いてくるとも言えるそうです。

 短い時間で腸にまつわる幅広い最新情報を提供してくれた小林さん、最後は「皆さんの周りの人にも「腸が大事」ということを、これからどんどんPRしていってください」とのメッセージで締めくくりました。

※善玉菌が水溶性植物繊維類を食べて生み出す物質の刺激で、腸から血糖値の上昇を緩やかにするホルモンが出て起こる作用。このホルモンの働きで、食物繊維を食べた後の食事で血糖値が上がりにくくなることをいう。