東京ミッドタウン(東京・港区)で、11月30日(金)と12月1日(土)に開催された「WOMAN EXPO TOKYO 2018 Winter」。キャリア、美容、健康など幅広いテーマでお届けしたセッションの中から、12月1日(土)に実施した「腸活は食物繊維の選び方ととり方がカギ!! 腸から元気&キレイになる秘訣を名医が解説!」の様子をリポートします。

働く女性の3分の2を悩ませる便秘

 本セッションの初めには、日経BP総研メディカル・ヘルスラボ客員研究員の西沢邦浩が登場。今や「腸」は世界の健康・医療関係者が注目している器官で、特に、有用な腸内細菌のエサになる「食物繊維」の重要性が話題になっていることを解説しました。

 そして便秘外来をはじめ、内科・皮膚科・女性専門外来など、女性の全身の不調に対応する「小林メディカルクリニック東京」の院長・小林暁子さんが登場し、健康で美しい「健美腸」と、「健美腸」をつくるための「食物繊維」について語ってくれました。

 まず会場にいる女性たちに向けて、「幼い頃から20代後半まで、自分もずっと便秘だった」と明かした小林さん。お通じを薬でコントロールしたり、肌荒れや体調不良、精神的な不調にも悩む日々が続き、それがきっかけで、ご自身も腸内環境のケアを始めたのだといいます。

 「現在では約1200万人が便秘や腸内環境の不調で悩んでいるといわれていますが、ある調査では、働く女性の約3分の2が、『3日以上お通じがないのが当たり前』であったり、『毎日出てはいるがスッキリ感はない』と答えていました」(小林さん)

 ストレスや過度のダイエットはもちろん、女性の場合は生理周期やホルモンバランス、自律神経の乱れによっても腸内環境は変化します。また、「運動量の減少や筋肉不足、栄養バランスの偏りによっても便秘が起こる」と、小林さん。

 「食事の欧米化や食品バリエーションの減少、さらに抗生剤の多用や便秘薬・下剤の乱用も、腸内環境を悪化させる原因となります。腸内環境が乱れると、肌が荒れたりむくみやすくなったり、気分が落ち込んだり、食欲のコントロールがうまくできなくなったりもするので、腸内環境を整えることはとても大切なことです」(小林さん)

腸は「第二の脳」、腸と脳の相関関係

 一方、最近の研究では、「腸と脳は相関関係」にあることも分かっているんだそう。

 「脳腸相関の第一人者であるエムラン・メイヤー先生は、『腸は24時間いつも脳に話し掛けている』とおっしゃっています。例えば腸に問題が発生したら、腸はその問題を自立神経を通じて脳に伝え、脳も自律神経を通じて、さまざまな指令を各器官に送っているというのです。ですから『ストレスの感じ方は腸内細菌が決めている』のかもしれません」(小林さん)

 腸が約5000万から1億もの神経細胞から構成されている繊細で重要な器官だということがわかり、今、腸は「第二の脳」とも呼ばれています。

 実際、健康だけれどややメンタル的に落ち着かない女性にヨーグルトを1日2回・1カ月間食べてもらい腸の調子が改善したら、恐怖や怒りに対する不安の感じ方が減少したという研究もあるそうです。

 「乳酸菌とビフィズス菌の摂取を続けると、血中のストレスホルモン濃度が下がり、心理的な苦痛感が減少することも分かっています。そして、健康な心身の維持のために重要なキーワードが、『腸内細菌の多様性(腸内細菌の種類が多いこと)』を上げることです」(小林さん)

【腸の善玉菌の働き】
①病原菌を排除する ②栄養吸収 ③ビタミンを合成する ④短鎖脂肪酸生成
⑤幸せ物質・ストレス対応物質であるセロトニン・ドーパミンなどの脳内伝達物質の活性
⑥免疫細胞の7割を活性化 ⑦アレルギー反応の減弱 ⑧ケミカルな物質のデトックス