輝くワーキングウーマンのためのイベント「WOMAN EXPO TOKYO 2018 Winter」が、11月30日、12月1日と2日にわたって東京ミッドタウンにて開催。1日には、「賢者の快眠 睡眠リズムサポート presents 目覚めスッキリ習慣をみにつけて、1日に差をつけよう」と題して、睡眠の専門家である岡島義さん(東京家政大学人文学部 准教授)と、神野亜紀子さん(大塚製薬 ニュートラシューティカルズ事業部)による講演が行われました。睡眠の質を高め、充実した毎日を送るためには何が大切なのでしょうか?

睡眠不足は、アルツハイマーや認知症になりやすくなる危険性も!?

東京家政大学人文学部准教授の岡島義さん
東京家政大学人文学部准教授の岡島義さん

 仕事や家庭、プライベートに忙しく、ついつい睡眠不足になりがちな現代の働く女性たち。毎日の生活の中でなかなか理想的な睡眠を取ることは難しいのが現状です。

 しかし、体の健康を保つためにも、オンオフでのパフォーマンスを上げるためにも、「毎日、十分な睡眠を確保することが何より大切」と岡島さんは強調します。 「私たちの脳は、起きている間は細胞がパンパンに詰まっているのですが、眠ることによって脳の細胞が60%縮むといわれています。脳の細胞に隙間ができることによって、起きている間には動かなかった髄液が流れ始め、脳の中にある老廃物も体内のリンパ系へと排出されるのです」(岡島さん)

 脳内にある老廃物の中には、アルツハイマーや認知症に影響を及ぼす「アミロイドβ」といわれる物質も含まれているそう。睡眠時間が短いとこれらの老廃物を流し切れず、滞留させたまま、また起きることになってしまいます。毎日しっかりと睡眠を取ることは、脳の病気を防ぐためにも非常に重要なのです。

 睡眠は、体の免疫機能にも影響を及ぼします。岡島さんによると、「5時間睡眠の人は、7時間以上睡眠を取っている人よりも4倍風邪を引きやすいといわれています。年間を通してしょっちゅう風邪を引いていたり、体調がよくなかったりする方は睡眠不足を疑ってみるといいかもしれません」。

 十分な睡眠は記憶力やパフォーマンスの向上につながったり、「楽しい、うれしい」といったハッピー感情が増えたりと(逆に不安感情が低下)、さまざまな効果も。睡眠時間を確保し、よく眠ることが、私たちの生活の質や心身の充実度を高めてくれるのです。

 では、どうすればよく眠ることができるのでしょうか?

よりよい睡眠のカギは、「体内リズムを整える」こと

 岡島さんによると、「体内リズムを整える」ことがカギになるそう。
 私たちが朝になると目を覚まし、夜になると自然と眠くなるのは、体内時計の働きによります。その体内時計には、脳内にある「中枢時計」とすべての臓器にある「末梢(まっしょう)時計」があり、それらを24時間周期に一致させる(体内リズムを整える)ことが重要になるのです。
 そこで、岡島さんに体内リズムを整えるために必要な4つのポイントを教えていただきました。

1.光の浴び方
 朝、目から光を取り入れることで、脳の中枢時計がリセットされ、一日の始まりを認識します。「朝起きてカーテンを開けるだけだと、目に十分な光が当たりませんので、起床後2時間以内に『30分以上』浴びると非常にいいです。ただ、朝せっかく光を浴びても、夜も明るい蛍光灯の下で過ごしていると寝付きが悪くなってしまいます。夜は白熱灯などオレンジ色の照明にして、少し暗めにするといいでしょう」

2.食事の取り方
 夕食を取った後、8~10時間、絶食の時間を持ち、起床後しっかりと朝食を取ることで、体内の末梢時計が整い、体が「朝が来た」と認識できるそう。「特にダイエットをしている方に多いのは、朝食を抜いたり、ヨーグルトや飲むゼリーなどで少なめに済ませてしまうこと。そうすると体内の末梢時計が狂ってしまいますので、朝食や昼食はしっかり食べ、逆に夜を軽めにすると朝スッキリ目覚められますし、体重も落ちやすくなります」

3.毎日の眠り方
 「睡眠時間が5、6時間と短く体調が優れない方は、平日の布団に入っている時間(臥床時間)をいつもより延ばし、休日の臥床時間を短くすることをおすすめします。起床時間と就寝時間は、毎日一定にすることが大切。朝起きたらしっかりと光を浴びて、日中はなるべく昼寝をしないで活動、夜は照明を落として過ごすとより深く眠れるようになります」。このサイクルを1週間続けるのがコツだと岡島さん。いつもより多く睡眠を確保することで、体調もよくなり、免疫力の向上につながります。

4.仮眠の取り方
 昼寝をしないように頑張っても、昼食後などに急に眠気が襲ってくる人も多いもの。「昼間、眠くて仕方がない時は賢く仮眠を取ることで夜の睡眠に影響を及ぼすことなく、日中のパフォーマンスもアップすることができます。この仮眠を『クレバー・ナップ』と言います」と岡島さん。
 クレバー・ナップは、15時前に取ると夜の眠りの妨げにならないとのこと。眠りに入って20分以上たつと深い眠りに入るため、15分程度に切り上げるのがポイントです(眠りが深い状態で起きるとボーッとしてまた眠たくなってしまうため)。仮眠を取る15分前にカフェインを摂取すると目覚め効果が発揮され、スッキリと起きることができます。

「皆さん忙しいとは思いますが、ぜひ毎日7時間程度の睡眠をしっかりと決まった時間、確保していただきたいですね。日中の活動量やパフォーマンスは格段に上がっていくと思います」(岡島さん)