ランチタイムの福岡国際会議場(福岡市・博多区)でひときわにぎわいを見せていたのが、このセッション。10月8日に開催された「WOMAN EXPO FUKUOKA 2018」のランチセッションでは、北海道の海の恵みをふんだんに使ったお弁当を食べながら、美にも健康にもうれしい素材の魅力を知ることができました。

用途で使い分けできる昆布の種類

昆布について「なるほど!」と思える知識をたくさん披露してくれた、「北海道ぎょれん」の西村さん
昆布について「なるほど!」と思える知識をたくさん披露してくれた、「北海道ぎょれん」の西村さん

 私たちの身近な食材「昆布」。でもその栄養価やおいしく食べるためのレシピってよく知らない……そんな人も多いのではないでしょうか。セッションでは「おいしい・健康・簡単昆布生活のススメ」というテーマで、まずは「北海道ぎょれん」販売企画部の西村美月さんが昆布の秘められたパワーについて教えてくれました。

 日本で流通する昆布の90%が、北海道で採れたものです。しかし、北海道で採れる昆布とひと言でいっても、種類は多様。利尻昆布、羅臼昆布、長昆布、厚葉昆布、日高昆布、真昆布、細目昆布……。採れる海域や種類によってさまざまあるというから驚きです。濃厚なだしを取るのに向いていたり、肉厚で食べ応えがあったり、とろろ昆布に使われたりと、「それぞれの特徴を生かした料理方法があります」(西村さん)

福岡の女性は昆布の消費額が低い

 昆布の収穫は一つ一つ手作業で、手間がかかるそうです。そういった理由もあり、昆布の漁獲量は減少傾向。それに伴って消費額も年々下がり、若い人ほど昆布支出金額が減少しているとのこと。

 「北海道で生産している昆布ですが、実は北海道の消費額・消費量も少ないんです」と、西村さんから意外な発言が。さらに福岡は、昆布の購入金額が全国37位なのです。「昆布の魅力を知って、福岡の皆さんの普段の食事にぜひ取り入れていただきたいです」(西村さん)

最強の美腸食材・昆布

タメになる話が多く、スライドの写真を撮る参加者も多数いた
タメになる話が多く、スライドの写真を撮る参加者も多数いた

 昆布には、健康に良いとされるさまざまな栄養素が含まれており、特に特徴的なのが「水溶性食物繊維」です。アルギン酸やフコイダン、ラミナリンといった成分のことで、これらの働きによって、健康への多様な効果が期待されています。

 「アルギン酸」は、昆布を煮たときに出るネバネバ成分のもと。便の中まで入り込むことから便秘の改善を促したり、中性脂肪やコレステロール値の上昇を防いだりする働きがあります。

 「フコイダン」は腸の炎症を抑えたり、血栓症を予防したりといった働き、「ラミナリン」は腸内細菌を増やして腸内環境を整えたり、炎症を抑え過剰な免疫を正常化し、アレルギーや自己免疫疾患などの病気に対抗してくれる働きがあります。

 「昆布はこれらの成分を豊富に含んだ最強の美腸食材といえます」と西村さん。さらに、うまみ成分は味をしっかり感じられることから過食を防止したり、無理なく減塩できたりとうれしいことばかり。こんなにうまみ成分と栄養素がぎっしり詰まった昆布をこれまでほとんど意識したことがなかったなんて、もったいない!

とても簡単、水に入れるだけのおいしいだし

 「だしのおすすめの取り方は『水だし』です。1リットルの水に長さ15センチ程度のだし昆布を入れて一晩おくだけで、昆布水の出来上がりです。これをお味噌汁のだしにしてもいいし、煮物や浅漬けなどもパパっと簡単に調理できますよ」。時間がないときは、水から昆布をぐらぐらっと沸かした「湯だし」でももちろんいいそうですよ。

 「だしをとったら、だしがらは捨てずに具として食べてほしい」と西村さん。刻んで佃煮、サラダ、ピクルスといったレシピを紹介してくれました。「昆布は冷凍可能なので、だしがらがある程度たまるまで冷凍しておいて、たまったら解凍してまとめて調理できますよ」と調理のコツも伝授。

 ちなみに、「昆布の表面についている白い粉は何ですか?」という問い合わせが多いそうですが、「マンニットといううまみ成分なんです。だから使う前に水で洗わないで。乾いた布巾で拭く程度で大丈夫です」(西村さん)

 昆布はかつお節と合わせると、さらにおいしくなるそう。「昆布のうまみ成分はグルタミン酸、かつお節のうまみ成分はイノシン酸です。違ううまみ成分を掛け合わせることでさらにうまみがぐっと深まり、お互いが引き立ちます」(西村さん)

 ミネラル豊富な北海道の雄大な自然の海で採取される昆布。昆布は日光の力が必要で、晴れの日でないと収穫できないそうです。さらに、乾燥・選葉と、すべて手作業で私たちの元へと届けられていることや、豊富な栄養価を知ることができ、今日から意識して食事に取り入れてみたいと思いました。昆布を使ったレシピは、「北海道ぎょれん」のホームページにたくさん載っているので、ぜひ参考にしてみてください。