男性用は清涼感を強調するものばかりだった

 この「呪縛」ってなかなか根深くて、男性用の洗顔料やシェービング剤など男のコスメにもそれらが存在します。やけにスースーするものやサッパリといううたい文句が目につき、爽やかで清涼感ばかりが強調されます。

柑橘やマリンもいいけど……フローラルも好きでいい (C)PIXTA
柑橘やマリンもいいけど……フローラルも好きでいい (C)PIXTA

 確かに男性は女性に比べて皮脂の分泌量が多いので、ある程度はそういうアプローチがあっても当然で、その点は理解できます。しかし、そのアプローチに合わせるために香りもサッパリ主体になり、柑橘やマリンなどの商品の一辺倒になるんですね。でも、近頃は優しいフローラルな香りの男性用コスメなども選べるようになってきました。

 ボクは元々、香水においてはフローラルなものが好み。あえてローズ全開の香水をたしなむこともあります。そうそう、ジョー マローン ロンドンというブランドがありますが、そこに美しいピンクの液体の「レッド ローズ」という有名なコロンがあります。これ、名前も見た目も非常にガーリー。でも、実はロンドンのシティで働くビジネスマンに人気なのだとか。ピリピリした彼らにとって癒やしの瞬間なのでしょう。男性から漂うローズの香り、素敵だと思いませんか?

 他にもブルガリの「マン イン ブラック」という香水では、チュベローズという甘い花の香りが入っているんですね。この香料もまた、従来は典型的な女性用でした。しかもそんなチュベローズをメインにしているというのが非常に画期的で、まさに今の流れを汲んでいるのだと思います。優しさを連想する香りを男性だって望んでいるという証でしょう。

 反対に、女性が男性用の香りをまとうというのもあります。これはわりと昔からあって、バブルの頃にもよく見られました。こちらは世間から「格好いい」という印象があって、先に挙げた女性の香りを使う男性よりもいい評価を得がちです。