店とのコミュニケーションが居心地を決める!

 一人飲みの居心地を決める大きな要素が、お店の人とのコミュニケーションです。以下、店に入ってから出るまで、岩本さんの考える「快適な一人飲みシナリオ」です。

1.店の入り口周辺を確認。店をのぞいて店内の雰囲気を確認。
  五感をフル稼働して、どんな店なのかを察知します。

2.「一人でもいいですか?」と聞く。
  反応がいまひとつならそのまま出ます。「親切な店だけを選びましょう!」(岩本さん)

3.飲み物をすぐ注文し、食べ物を1、2品頼む。
  注文時、「塩にしますか、タレにしますか」などと聞かれたら、「『どっちがおいしいかな……お任せします!』とお任せをしてみると、任された店側は結構喜びますよ」(岩本さん)。

4.2皿目/2杯目は「おすすめは何ですか?」と聞いてみる。
  旅行や出張で来ている場合は「この町は初めて来たんですが、ここのおすすめの料理/お酒って何ですか?」などと「初めて」をアピール。「うちで珍しいのは○○ですよ」とおすすめしてくれたら試してみる。

5.他のお店候補を、今いる店でゲットする。
  飲食店同士は互いの情報に詳しいので、店のスタッフは女性の一人客が入りやすい近辺の店を知っている可能性が高い。「このへんでおすすめのバル/バー/カフェってありますか?」と、他に候補になる店を聞いてみる。「日本酒なら○○という店がいいけど、先に電話してから行ったほうが確実ですよ」などと親切に教えてくれるかもしれません。

 ときには一人で来ている客同士で会話が弾むこともあって、それは楽しいもの。半面、静かに飲みたい時もあります。やたらと話し掛けられるのが面倒な時は「威勢よく手短かな返答で。『旅行?』と聞かれたら『出張です!』と答えます」(水津さん)。「話し掛けられたくないオーラ」を出してみて。

 しつこく絡まれるときは「トイレに立ったり、電話が掛かってきたふりをして立ち上がって移動する。カウンター席なら、スタッフに『助けて光線』を目で出して、さりげなく介入してもらっても」(岩本さん)。

 一人だといろいろな状況に遭遇することはありますが、それらに対処する術を身に付けることは社会で生きていく上できっと役に立つはず。「知らない人と会話する術や、望む方向にうまく誘導していく交渉術などを磨ける場にもなります」(岩本さん)。一人でしかできない経験は、いつか自分自身の糧になってくれるかも。

文/日経ウーマンオンライン編集部 写真/PIXTA

この人に聞きました
岩本留里子さん
ビジネスフードアドバイザー。外食店向けのコンサルティングや研修などを手掛ける。全国100店舗を超える焼き鳥屋を巡り、「焼き鳥を1000本食べる」計画を実行中で、現在500本を超えたところ。
水津陽子さん
地域活性化コンサルタント。フォーティR&C代表。仕事柄、年に日本全国へ70回以上の出張をこなす。観光関連のコンサルティングも多数手掛ける。旅ライターとしても活躍中。