デマ拡散に注意、真偽の確認を

 今回も、「シマウマが脱走した」「京セラドーム大阪の屋根に亀裂が入っている」「京阪電車が脱線した」などのデマが広まった。

 「シマウマ脱走」の投稿には、2016年3月の「三国ウエスト農場」からシマウマが脱走した時の報道写真が使われており、悪質なデマなことは明らか。2016年の熊本地震の際に「動物園からライオンが逃げた」というデマを流した会社員の20歳の男は偽計業務妨害罪で逮捕されており、このようなデマを流すことは罪に問われる可能性が高い。

 「京セラドームの亀裂」は、もともと外側に階段があり、遠目にはヒビのように見えることから誤解されたと考えられる。「京阪電車脱線」は、Twitterを追うと「脱線しそう」というツイートから途中で「脱線したらしい」と変わっていく様子が見て取れる。

 このように、デマには悪質なものの他、誤解で広がったり、波及する過程でデマになってしまったりするものなどがある。デマを拡散すると多くの人に無用な心配をさせてしまい、迷惑を掛けることになるため、真偽を確認していない情報はくれぐれも安易に拡散しないようにしよう。

 では、震災の混乱時に正しい情報を得るためには、どうすればいいのか。SNSの場合は、必ず情報の発信元の信頼性を確認しよう。アカウントの素性や前後のツイートを確認するのが基本となる。

 また、複数の情報源があることを確認するのも大切だ。今回のシマウマ脱走も、写真が一つしか出回っていないことがデマを見分けるポイントとなっただろう。本当に脱走していたら、もっと多くの写真が存在するはずだからだ。

何が本当で何がデマ? 情報の取捨選択にも注意 (C)PIXTA
何が本当で何がデマ? 情報の取捨選択にも注意 (C)PIXTA

 救助情報などについては、自治体・企業などの公式アカウントやホームページのリリースを確認するのが確実だ。政府も情報を出していることがあるので、そのようなアカウントも確認してほしい。また、情報が古くなったら事態が変わってしまっている可能性もあるので、情報の鮮度は重要となる。必ず最新情報を確認するようにしたい。

 万一デマの拡散に協力してしまったら、Twitterの場合はもとの投稿を消して「デマでした」という訂正・謝罪投稿をすること。Facebookの場合は元投稿を編集できるので、謝罪とともに正しい情報に編集してほしい。

 まだ余震の可能性も残っている。正しい情報を得るとともに、いざというときに備えるために役立てていただけると幸いだ。

文/高橋暁子 写真/PIXTA