働き方改革のコンサルティングを行っている池田千恵さんが、明日からすぐに実践できる仕事術・時間術・コミュニケーション術などを紹介していく本連載「じぶん働き方改革」。今回は、遊びがそのまま仕事になる人・ならない人の違いについて、池田さんと一緒に考えてみましょう。

機械が本格的に私たちの仕事を奪いにくる?

遊ぶように働いている人って、いますよね (C)PIXTA
遊ぶように働いている人って、いますよね (C)PIXTA

 ホワイトカラーの間接業務を自動化する技術と、それを利用した業務改革の手法はRPA(Robotic Process Automation)と呼ばれ、近年注目が集まっているそうです。RPAにより時間がかかっている作業から私たちは解放され、今まで費やしていたムリムラムダ時間が減るため、創造性があることに多くの時間を費やすことができるようになるといわれています。

 今後どんどん面倒臭いことから解放されるんだ! と思うと「さて、何をしようかな?」とワクワクしてくる人もいる一方で、そういった状況に不安を持つ人のほうが今は大半かもしれません。私も前職でパワーポイントでの資料作成時間を劇的に短縮化するソフトが導入された時、自分がラクになるというほっとした気持ちよりも、「自分の仕事が機械に取って代わられる」「クビになるのでは?」という不安のほうが勝り、「今のままの仕事の仕方ではダメだ」と強烈な危機感を感じたことを、ついこの前のことのように覚えています。

 先日転職したばかりの友人とランチをする機会がありました。転職先の会社は最先端の働き方を実践しているそうで、結果さえ出していれば出社する必要はなし、何時間働いてもよし、海外でリフレッシュしながら働いてもいいし、その場合は渡航費まで出してくれるという夢のような会社だそうです。

 しかし「なんでもあり」ほど難しい仕事はありません。例えば私は最近「なんでもいいから面白い講演をしてほしい」というざっくりした講演依頼をもらい、さてどうしたものかとぼうぜんとしました。「なんでもいい」が一番困るのです。自由には、どこまで何をどのようにやるかをすべて自分で考え、結果も引き受ける責任が重くのしかかるもの。与えられた役割の中で一生懸命成果を出す今までの仕事とは全く違う頭の使い方が必要となります。

 友人の会社はゆくゆくは「正社員」という枠も取り払い、一人一人が会社と個人事業主として契約し、プロジェクトベースで働くようにする計画だそうです。彼女は一部上場の老舗大企業からの転職組ということもあり、仕事の仕方があまりにも今までと異なるため、楽しいながらも時々不安になるそうです。

 「何時間働けばこれだけの成果がある」と分かるような単純作業はRPAに任せるようになれば、今後は一人ひとりの創造性が肝となります。作業ではなくビジョンを描き、実行に移すといったような、経営者や個人事業主的な視点が今後ますます求められるようになるでしょう。そこで今回は、未来に備えた新しい働き方に向け、今どのような準備をしておけばよいかについて述べます。