ポジティブな質問には「宝」が隠れている

 「解決できるニーズがある」というポジティブな可能性とは、誰もが知りたいけど、なかなか答えにたどり着けないから、答えを知っているあなたに質問してくる、というものです。聞かれる側としては何度も聞かれるので「またか」とうんざりしてしまうことも多く、当たり前のように答えているため価値があることに自分自身が気付かないことが多いのですが、実はこのポジティブな質問には宝が潜んでいることが多いのです。

 実は私も、何度も同じことを答えることが多いです。仕事柄インタビューを多く受けるのですが。例えば「朝活」の話だと、必ずといっていいほど次のことを聞かれます。

1.早起きのきっかけ
2.早起きのメリット
3.早起きのコツ
4.早起きした時間で何をするのがよいか

 もうかれこれ10年ほど同じ質問に答え続けているので、ちょっと飽きてしまいそうになったこともあるのですが、「よく聞かれるということは、みんなが知りたいということだ」と思考を変えたところ、日々表現に工夫し、分かりやすく伝えることが楽しくなりました。また、講演依頼や執筆依頼があったときもこの部分は「定型パッケージ」として対応できるように準備できるようになりました。30分、10分、5分などでパターンを含めて何を話すか、書くかが整理されているのでインタビューもスムーズに進みます。

 また、会社員時代に資料作成の仕事をしていたときは、よく使う(=ニーズがある)パワーポイントのパターンが決まっていることが分かっていたので、「新規営業のときはこのテンプレート」「スケジュールの確認のときはこのテンプレート」「Before → Afterを端的に示すにはこのテンプレート」などと、すぐに探してコピペできるようにまとめておくことで仕事のスピードが劇的に速くなりました。

 つまり、自分の仕事について自分で「FAQ集(よく聞かれる質問集)」をまとめてみるというイメージで仕事をするようになったのです。

 冒頭の彼女と同じように「いつも同じ質問だ」とうんざりして仕事をしている方も多いかもしれません。でも、うんざりしてしまう仕事の中に、自分ならではの問題解決の種が潜んでいる可能性があります。同じ仕事でも、「宝」が潜んだ質問探しだと思ったら、それだけで仕事もちょっと楽しいものになりますよね。

 2016年2月には、ロート製薬が上場企業では珍しく「副業制度」を導入したことが話題になりました。今後働き方改革の流れから、他企業でもいずれ副業が解禁されることでしょう。終身雇用で1社のために生涯をささげる、というのが既にナンセンスとなっている世の中で、自分がどのように通用するかを探る試金石ともなり得るのが、この「ポジティブな繰り返される質問」です。何度も繰り返し聞かれる質問こそ、「●●ならあなた!」と言われ、一つの企業にとどまらない「ポータブルスキル(持ち歩き可能な、どこでも通用するスキル)」の種が眠っている可能性だってあるのです。

今回の記事のまとめ

 今回の話をまとめると、次の4点になります。

1.質問の性質には「ネガティブ(そもそも分かりにくい)」と「ポジディブ(解決できるニーズがある)」の2種類があり、どちらかにより解決策は異なる

2.ネガティブ質問の場合は「分かりにくさ」の原因を突き止め、原因となる箇所からまず自分ができる箇所を抽出し、改善する

3.ポジティブ質問の場合は、あなたが解決できる宝を持っている可能性が高いので、体系化してすぐに答えられるようにしておく

4.ポジティブ質問を集めて回答できるようにしておくと、今後副業が解禁されたときに自分の強みとなる可能性が高い

 うんざりするような仕事でも、視点を変えることで自分の価値を上げる経験を仕事を通じてできるチャンスに変わります。上記ポイントを意識して、仕事をいっそう楽しんでみてくださいね。

繰り返される質問にうんざりしていたら…それが「ポータブルスキル」になる! という可能性も (C)PIXTA
繰り返される質問にうんざりしていたら…それが「ポータブルスキル」になる! という可能性も (C)PIXTA

文/池田千恵 写真/PIXTA

さあ、働き方改革をはじめよう。明日から実践できるノウハウが盛りだくさん。
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