婚活パーティーで「お母さんみたい」と言われて…

 結婚に関する目的や意志が明確になった景子さんは、自ら「婚活パーティー」に参加するなどして、積極的に行動するようになりました。

 しかしそんなある日、彼女が打ちひしがれて相談にやってきたのです。

 「植草さん、私、婚活パーティーで、年下の男性に『お母さんみたいだね』と言われたんです……」

 そう言って、彼女は涙を流しました。

 結婚相手を見つけたいと思って参加したパーティーで、男性から「お母さんみたい」と言われる――。この出来事は、どれほど彼女を傷つけたことでしょう。

 ただ、ピンチはチャンス。私はこれが彼女の「転機」だと捉え、ある提案をしました。

 「だったら、この機会に『大変身』しましょう。『お母さんみたい』なんて二度と言わせないように、もっとキレイになりましょう!」

 こうして、彼女の快進撃が始まったのです。

変身して、デートする楽しさを思い出す!

 実は、相談所にやって来た頃の景子さんは、あまりオシャレにこだわるタイプの女性ではありませんでした。

 仕事が忙しかったこともあるでしょう。相手にどう見られるかをもっと意識するようにと話をして、北海道から来るたびにメイクレッスンを受講してもらいました。

 それだけではなく、ファッションセンスを磨いてもらうためにショッピング同行も実施。このショッピング同行は、スタイリストの男性との「シミュレーションデート」も兼ねていて、「男性とデートをする楽しさ」を思い出してもらうきっかけにもなります。

 普段は「先生」と呼ばれて、「個人」であるよりも「医師」としての振る舞いを求められることが多い景子さん。彼女にとってもこの「ショッピング同行 兼 シミュレーションデート」は、恋愛の楽しさを思い出すいい機会になったようです。

 そしてショッピング同行を終えた後、話をしていたある日。服装も見た目も華やかになり、魅力を増した景子さんの口から、「デートが楽しかった」という言葉が! これでもう、「お母さんみたい」と言われることはないだろうと、私も安心しました。

自ら気付いて行動する、それが成婚への道

 彼女が大変身を成し遂げた理由は、二つあると思っています。一つ目は、婚活パーティーで傷ついたことによって、「変わる必要がある」と自覚したこと。二つ目は、メイクや服装など、教わったことをどんどん吸収して、変わるための行動を彼女自身が積極的に取ったこと。

 いずれも、「私から言われてイヤイヤ実践した」のではなく、「自ら望んで行動した」ことがポイントです。私も必要なアドバイスとサポートは惜しみなく提供しますが、人の心を無理やり変えることはできません。

 「結婚相談所に来たら『魔法』がかかったように結婚できる」のではなく、「自分が傷ついたとしても現実を受け止め、そこから変化する行動力が必要」であることを、婚活中の女性には知っていてほしいと思っています。