Q.まぶたが時々ピクピクするんです。これって何かの病気?

A.多くはストレスによる一過性のもの。気になる場合は受診を

 「下まぶたや上まぶたが、自分の意思にかかわらずピクピクと動くことがあります。これは目の周りにある眼輪筋という筋肉のこむら返りが不随意に起きている状態で、眼精疲労や睡眠不足、肉体的・精神的ストレスなどが原因といわれています。

 目の負担を減らし、温めるなどしてケアすると自然と治まるケースがほとんどですが、ストレス以外の原因(例えば、脳血管の動脈硬化や脳腫瘍による顔面神経の過剰刺激など)が隠れている場合もあります。気になる場合は受診しましょう」

Q.目の洗浄剤、目に良くないってホント?

A.本来、目を洗う必要はナシ。どうしても洗いたければ目薬を

 「花粉の季節などは、アレルゲンとなる異物を洗い流すことは症状の軽減に効果的ですが、洗顔やハミガキをするように、目を洗うことを習慣化するのは良くありません。涙液には角膜を保護するムチンなどの成分も含まれ、日常的に目を洗うとこれらの大切な涙液を洗い流してしまうことに。洗わないとスッキリしないという人は、目薬で代用しましょう」

Q.カラーコンタクトレンズって目に悪いって聞くけど、ホント?

A.安価なものは品質に不安があります。

 「近年、カラーコンタクトレンズによる目のトラブルが急増しています。透明なコンタクトレンズに比べると、カラーコンタクトレンズは酸素透過率が低いことや、色素部分によって角膜やまぶたを傷つける可能性があることが指摘されています。

 海外製の粗悪なものも少なくなく、視力低下や失明につながることも。目の健康を考えるとカラーコンタクトを付けることははおすすめしませんが、どうしても使いたいなら、信頼できるメーカーの製品を選び、レンズの輪郭だけに色素が入ったディファインタイプにしてはいかがでしょうか。眼科専門医の診察を受けた上で、正しく使用することは大前提です」

「目が悪いのにメガネをしないで過ごすと、視力はますます低下します」 (C)PIXTA
「目が悪いのにメガネをしないで過ごすと、視力はますます低下します」 (C)PIXTA

Q.目を酷使すると、頭痛や肩凝りまで起きてしまうのはなぜ?

A.眼球と三叉(さんさ)神経は近い。眼球周りの筋肉の疲れが頭痛に直結

 「眼球の周りには、眼球を動かす6本の外眼筋と、まぶたを動かす眼瞼(がんけん)挙筋、眼輪筋などがありますが、長時間のPC作業などで目を酷使すると、眼球周囲の筋肉と、眼球内部の筋肉がフリーズして筋肉疲労を起こします。眼球は、顔の感覚を伝える神経の三叉神経と近く、目の周りの筋肉の疲労が目の奥の鈍痛や、頭痛につながりやすいのです。

 さらに、目の疲れは肩凝りとも密接な関わりがあるというのは、私の仮説です。まぶたの筋肉の低下によってまぶたが開きにくくなる眼瞼下垂の人は、手術によってラクにまぶたが開くようになると、首や肩のコリまで解消できるケースが多いのです」

 目を酷使しないために、日常のアイケアを心がけましょう。詳しいやり方は→「疲れ目は『温める』と『冷やす』どちらが正解?」

Q.アイライン、粘膜ギリギリにひいても大丈夫?

A.メイクでマイボーム腺の出口を塞ぐと涙が乾きやすくなります

「診察時に、アイシャドーやアイラインの油成分が眼球に付着している患者さんをたまに見かけます。異物は涙で洗い流されるので、そこまで神経質になる必要はありませんが、やはり目に異物が入らないに越したことはありません。

 また、粘膜の部分にインサイドラインを引くと、上下のまぶたの内側にあるマイボーム腺という脂分を分泌する出口部分を塞いでしまうことがあります。この脂分は涙の蒸発を防ぐ役割を果たし、分泌がうまくいかなくなるとドライアイを引き起こします。粘膜部分にはメイクをしないようにしましょう」

 次回は、編集スタッフによる「眼精疲労治療室」体験レポや目の疲れを取る気になるアイテムをご紹介します。

文/中島夕子 写真/PIXTA

この人に聞きました
森岡清史(もりおか・きよし)さん
医学博士。浜松医科大学医学部卒業後、東京大学大学院医学系研究科にて網膜色素上皮細胞の研究に従事。東京医科大学、田無第一病院眼科医長を経て、吉祥寺森岡眼科を開設。眼精疲労治療室を併設し、東洋医学を取り入れた専門的な治療にあたる。著書に「眼精疲労はまかせなさい!」(現代書林)、「1日3回ツボを押すだけで目はすぐよくなる!」(KADOKAWA)、12月には新著「見える力がよみがえる 立体 遠近トレーニング」(サンクチュアリ出版)も。