一晩二晩寝て回復するなら「疲れ目」といえますが、疲れ目が蓄積されていくと目だけでなく、全身に症状が出てしまう「眼精疲労」に進行します。こうなると、自分でケアをすることが難しくなってしまいます。眼精疲労にさせないコツは、その日の目の疲れをその日のうちにリセットすること。眼精疲労治療に力を入れている、吉祥寺森岡眼科院長の森岡清史さんにセルフケアのコツを教えてもらいます。
IT企業、89%の社員が「疲れ目ケア」をしていない
森岡さんがある上場IT企業の社員約200名を対象に実施したアンケートによると、1日のパソコン作業時間が10時間を超える人は62%、5~9時間の人は38%と、パソコンでの作業時間は驚くほど長時間でした。
半数以上の人が、「近視が進んだように感じている」、「目が乾く感じがする」、「首・肩凝りがつらいと感じる」、「夜思うように眠れない」などの症状を訴えながらも、「普段から疲れ目のケアをしている」と答えた人はわずか11%。89%もの人がケアをしていないという実態が浮き彫りになりました。
「ここ近年で眼精疲労の患者さんの急増ぶりは驚くばかりです。眼精疲労になる前に、疲れ目の段階でセルフケアすることが大事です」(森岡さん)
早速、オフィスで、自宅でできるケアを教えていただきました。
【オフィスでのケア】1時間に1回の休憩+すぐにできるケア
まずはオフィスでできる疲れ目ケア法として、ツボ押し、遠近ウオッチング、目回し体操を紹介します。パソコンでの作業を続けるときは、1時間に1回は休憩をして、これらのケアを取り入れてみましょう。
1.ツボ押し
疲れ目を感じると、無意識に目頭を指で押さえる人は多いはず。実は目の周りには、目の疲れを改善する効果のあるツボが多数あります。ツボ押しで血流を促し、眼筋にたまった疲労物質を排出しましょう。
自分で押すなら「攅竹」(さんちく)、「上清明」(じょうせいめい)、「太陽」(たいよう)、「承泣」(しょうきゅう)の4つのツボを覚えておきましょう。
「ツボに当てた指をぐりぐりと回すように、気持ちがいいと感じるくらいの強さで刺激します。眼球を傷つけないように注意。ツボの位置を正確に捉えていなくても、その周囲で『気持ちがいい』と感じる場所を押さえればOKです」(森岡さん)