今後、副業が当たり前になっていく中で、時間の切り売りをする仕事を副業や兼業に選ぶことは、ブラックな働き方につながりかねません。会社員を続けながらも、自分の価値を見極め、能力を役に立つ形でパッケージ化するには、どうしたらいいのでしょうか。この連載では、働き方改革のコンサルティングを行っている池田千恵さんが、「ポータブルスキル(持ち歩き可能な、どこでも通用するスキル)」を磨く方法を指南します。最終回の今回は、「仕事が遊び、遊びが仕事」という理想の状態にするために必要なことと、人生の棚卸し方法をお教えします。

仕事の優先順位と人生の優先順位、決められないときはどうする?

目の前のことをこなすので、いっぱいになってしまう! (C)PIXTA

 ある企業での働き方改革に関する講演会で、仕事での優先順位付けについて話す機会があり、参加者から次の質問が出ました。

 「今目の前の仕事の優先順位と、将来に役立つ仕事・やりがいのある仕事・自分のキャリアにつながる仕事の優先順位付けにいつも迷ってしまいます。例えば、この企画は会社にとっても世の中にとっても絶対いいものだし、私も力を入れて取り組みたい! と思うアイデアがあるけれど、自分の直接の業務ではないから真っ先に取りかかることは難しく、折り合いのつけ方にモヤモヤしてしまいます」

 「絶対いいものだ!」と信じているのならぜひ推進したいものですが、目の前の仕事も放っておくわけにはいかない……悩ましい問題ですよね。

 この悩みは、連載のタイトル「じぶん商品化戦略」とは関係のないように見えますが、実は大いに関係があります。仕事の優先順位と、自分にとって情熱を持って打ち込めるような人生の優先順位を別々のものとして切り分けるような「仕事か人生かを選ぶ」考えは徐々に古くなってきているからです。今後は遊ぶように楽しむように働く時代が間もなく訪れ、あなたらしさや、あなたのアイデアや人生経験を商品として売り出し、仕事においても価値を出すことが当たり前になってきます。となると、上記のような「今の仕事と好きな仕事との折り合いをどうつけるか」という問いが出ることすらなくなってくるのです。

 兆しはもう見えています。例えばほぼ日では、2018年春より労働時間を8時間から7時間に短縮し、毎週金曜日を「インディペンデントデー」として、一人で考えたり、自由に使ったりする時間にしたそうです(出所 「すいません、ほぼ日の経営。」日経BP社)。これは単に労働時間を削減する「働き方改革」の話ではありません。質のいいアイデアを生むためには集中力を高めて物事を早く終わらせる、という今まで一般的だった考えを捨て、仕事に「余白」や「遊び」を加えることで、かえって個人の仕事の創造性、人生の創造性が高まり、それが会社の成長にもつながると考える会社は今後どんどん増えていくだろうと、私はこの本を読んで感じました。「仕事が遊び、遊びが仕事」となれば、「今の仕事の優先順位と、本当にやりたいことの優先順位の折り合いがつかない」という状態は今後なくなっていくでしょう。

 自分が本当にやりたくて、楽しくて仕方がなくて、夢中になったプロジェクトが世の中を変えるものとなるので「仕事はつらいものだからガマン料」「仕事は仕事、生活は生活」と割り切ったり、「本当はこの仕事をやりたいけど、今はできない」と考えたりすることがいずれなくなると思われる中、私たちが今すべきことは徐々に「いかに仕事を人生のやりがいにつなげるか?」「仕事を楽しむか?」という思考にシフトしていくため「脳を再インストールする」ことかもしれません。