最後に、今までのキャリアをしっかり棚卸ししてみよう

 このように、日々の仕事から楽しみを見つけたり、関連性を見つけることから始めると、徐々に「仕事が遊び、遊びが仕事」という意識が自分の中にインストールされていきます。最後にもう一つ、時間をかけてでも一度考えておいて損はないのが「人生の棚卸し」です。多くの人はキャリアの棚卸しや自己分析を人生で1~2度、就職や転職の時しか実施しません。棚卸しも中途半端で、振り返り切っていないのです。人生の棚卸しは就職活動が終わったらそれで終わり、ではありません。定期的に転機が訪れるたびに徹底的にすべきものだと私は考えています。

 AI(人口知能)やRPA(ホワイトカラーの業務自動化技術)、「人生100年時代」といったキーワードに漠然とした不安を抱えてしまう理由は、自分の得意不得意、好き嫌い、強み・資質を理解しないままはやりや、稼げるかどうか、得するかどうか、ハクが付くか、と言った基準でキャリアの方向性や勉強分野などを決めてしまい、本当にやりたいことや、力を発揮できることを見失ってしまっているからです。

 そしてどうしたらいいか分からず、多くの人は資格取得に走ります。勉強している間は前に進んでいる安心感を得ることができるからです。しかし取得後、さあ、どうする? となった時にまた不安になり、また新しい資格を求めます。こうしていつまでたってもキャリアの方向性に悩むから、目の前の仕事に全力で取り組むことができないし、仕事に楽しみや意義を見いだせないのです。

 あなたらしさ、あなたの価値は、外に求めるものではなく、内に探るものです。今の自分とは全く違う自分になろうとするから、勉強しても勉強しても「まだ足りない」と不安になるのです。いったん徹底的に過去をしっかり振り返ってみると「じぶん商品化」の種は既にあなたの中にあることが分かるでしょう。過去を振り返り自分の強みを知る手法については過去記事でも紹介した「自分年表」を書いてみるのもおすすめです。



まとめ

 今回のまとめは次のようなものです。

●「仕事か人生かを選ぶ」考えは徐々に古くなり、今後は遊ぶように、楽しむように働く時代が間もなく訪れる

●「いかに今の仕事を人生のやりがいにつなげるか?」「仕事を楽しむか?」という思考にシフトしていくため「脳を再インストールする」ことが今後必要

●「仕事が遊び、遊びが仕事」を実現するために今できることは3つ
1.今の仕事と将来の仕事の「架け橋」を考える
2.決裁者にプレゼンしたらどうなるか? をイメージし、実際にプレゼン資料を作ってみる
3.自分の人生を徹底的に棚卸ししてみる

 「仕事が遊び、遊びが仕事」の時代がやって来ると、出るくいは打たれるという価値観は終わります。みんな違うから個性を出し合い新たな価値を生み出せるのです。出っ張っているところも、へこんでいるところもあるから、それがチームとなってぴったり合わさったとき、素晴らしい未来が見えてくるのです。

 もちろん「じぶん商品化」でお金を頂くには、長年積み重ねた経験や知識も必要でしょう。しかし、一つのことを苦しみながら長く研究し続けた専門家は、変化に対応するのが難しい場合が多いです。3~5年後にどんな世の中になるか分からない今の時代は、むしろ、興味にまかせて夢中になりつつ1~3年くらい集中した経験を何個か掛け合わせた人のほうがより強いのです。

 そうして掛け合わせた強みを市場に問い、フィードバックを得て自分だけの学びを身に付けていきましょう。自分だけの学びは、そのまま教えるネタになり、誰にもマネできない「自分ならでは」としてのすごみとなっていきます。まずは自分らしさを探すのではなく、今いる環境を自分らしくすることから始めましょう。方法はお伝えしました。あとはジャンプするのみです。あなたの一歩を心から応援しています。最後までお読みいただき、ありがとうございました。

あなただけの学びを、「自分ならでは」のすごみにしていきましょう (C)PIXTA
あなただけの学びを、「自分ならでは」のすごみにしていきましょう (C)PIXTA

文/池田千恵 イラスト/PIXTA