朝の30分で文章化を習慣にすれば、負のスパイラルから抜け出せる

 負のスパイラルから抜け出す方法は二つです。

1.朝の始業前30分を活用する

2.ついついダメだししたくなること、勝手におせっかいしたくなることを文章化してみる

 順番に説明しましょう。

【朝の始業前30分を活用する】

 時間はお金と似ていると私は常々考えています。給与天引きで給料日に自動的に貯金できるように仕組み化しておくとお金は貯まりますが、同じ額を給料日前に貯めようと思っても貯まらない、という経験はあなたにもあるでしょう。時間も一緒で「時間があったらやろう」と思ってもいつまでたっても時間はつくれません。朝イチにまず、考える時間をつくってみましょう。いきなり朝4時起きは無理でも、30分程度時間をつくることならできるはずです。朝の時間は睡眠で記憶や感情経験が整理整頓されるため、脳が一番「飽きていない」状態なので、クリエーティブなことを考えるのに適しています。(参考:「朝すっきり」のために、夜にやるべきこと

【ついついダメだししたくなること、勝手におせっかいしたくなることを文章化してみる】

 実は、「もどかしい」「イライラする」「私だったらうまくできる」と思うことに、あなただけが解決できる問題や専門性が隠れていることが多いのです。朝の30分を使い、ついついダメだししたくなること、勝手におせっかいしたくなることを文章化してみましょう。

 例えば私の場合、長年プレゼン資料作成の仕事をしていたので、電車に乗っている最中も車内広告や雑誌広告などをプレゼン視点でついつい見てしまうクセがあります。長過ぎたりまとまっていなかったりする文章や、落ち着かない配色、デザインなどを自分の頭の中で勝手に直してスッキリするのです。このように勝手についついやってしまうこと、「もったいない!」「残念!」とイライラしたりすることに、あなたの「じぶん商品化」のタネがあります。

 例えば、

◆残念と思った出来事
◆なぜ残念と思ったのかを、自分の専門的な知識から説明
◆Before → Afterでどう変えればスッキリするか

などを、まず文章化してみると、SNSやブログのネタが出来上がります。これなら機密保持についての心配は少ないですよね。

 例えば美容やメークに詳しくて専門知識豊富な人なら、街を歩く人の眉毛をついつい見てしまう、という人もいるかもしれません。この顔形にはこの眉毛の形のほうが絶対合うのに! 変な形でソンしていてもったいない! といった、残念に思う気持ち、もっとこうしたらいいのに! という気持ちを文章にぶつけてみると、それがそのままあなたらしい切り口になるのです。

 この前編集者の知人に聞いてその視点は編集者ならではで面白い! と思ったのは、美術館の説明文がいつも分かりにくいという不満でした。分かりにくい説明文を読むためにお客さんが絵の前で長時間立ち止まってしまい、美術館も混んでしまっていいことがない。分かりやすい見出しやまとめる能力があったら、もっと美術館も楽しくなるのに! という考えに、彼女ならではのプロとしての視点があると思いました。

 専門的な知識なら、教科書が一番詳しいのは当然のことです。教科書と比べたら絶対に知識の数や完全さでは負けてしまいます。「じぶん商品化」とは、完璧な知識を相手に伝えるということではありません。あなたから見て、残念な状態、理想の状態があって、あなたの知識や経験で、何をどのように変えることができるかの「ものの見方」「視点」が商品になっていくのです。朝30分、こんなアイディア出しからなら始められると思いませんか?

まとめ

 今回のまとめは次のようなものです。

◆資格を得たり、専門知識の習得をしたりしても、どう活用したらいいか迷っている人は多い

◆いざ資格や専門知識を得ても、そもそも専門家を名乗るほどの知識もないという不安から発信や行動をためらってしまうという問題もある

◆「忙しい → 時間がつくれない → 疲れ切ってしまう → 考える時間が取れない → ますます時間がつくれずに忙しくなる → 無理に時間をつくって学んだ勉強もうまく活用できない」という負のスパイラルを断ち切ろう

◆負のスパイラルを断ち切る鍵は次の二つ
1.朝の始業前30分を活用する
2.ついついダメだししたくなること、勝手におせっかいしたくなることを文章化してみる

 「じぶん商品化」のために専門性を磨こう、と思っていても、どうやって具体的にやるのか、やったところでどう使うのかが分からないと、せっかく時間をつくっても前に進めることができませんよね。あなたの視点や専門性を待っている人は必ずいます。まずは朝の30分で自分ならではの視点を磨く習慣化から始めてみてくださいね。あなたの第一歩を心から応援しています!

朝の30分が、あなたの未来をつくります (C)PIXTA
朝の30分が、あなたの未来をつくります (C)PIXTA

文/池田千恵 イラスト/PIXTA