学びは現場に落ちている
では、勉強にはまり過ぎずに実践的な学びを得るために、何を心掛ければいいのでしょうか。すぐできる方法を今回は二つ挙げます。
1.目の前の仕事から「じぶん商品化のタネ」を拾う
2.自分の仕事の「再定義」をする
何度も聞かれることは、みんなが知りたいことである可能性が高いです。自分にとって当たり前にできることが、実は「じぶん商品化」のための宝物になることがあります。例えば、仕事上で毎回繰り返し聞かれて、ちょっとうんざりしていることに、もしかしたらあなたが解決できるニーズがある可能性があります。仕事なら、IT関連部署ではないのにトラブルシューティングに毎回かり出されるなど「なんで私ばっかり」と思うようなことに、IT部署では解決できないあなただけの何かがあるかもしれません。プライベートなら、あなたがおいしいレストランをいろいろ知っていて、毎回「おすすめのレストランを教えて」というざっくりした質問に答えるのが面倒臭くてイラッとしていたとしたら、用途・ニーズ・人数・予算に応じて自分のオススメレストランガイドをまとめてみると役立つかもしれませんよね。
じぶん商品化のタネについては、以前の連載の記事「自分への『よくある質問』にはコピペ対応、残業ゼロへ」にも詳しく書いたので参考にしてみてください。
「自分の仕事を『再定義』をする」 とはどういうことかというと、今やっている仕事を「作業」ではなく、「価値」で見直してみるということです。
例えば私は過去、パワーポイントでプレゼン資料を毎日100枚以上作る部署にいたのですが、「パワーポイント作成」だと単なる作業です。しかし、資料作成の本質は、混沌とした情報を整理してまとめ、分かりやすい形に編集して伝えるという「価値」となります。パワーポイントの資料の作成代行だと単価は安いかもしれませんが、あなたの強みを「見える化」して資料にまとめることができます、と伝えれば単価は高くなります。
あなたが今している仕事の中でも「作業」として捉えているけれど「価値」になりそうなものはたくさんあるはずです。まずはそれを見つけるところから初めてみましょう。
まとめ
今回の話をまとめると、次のようになります。
●リカレント教育(社会人の学び直し)が話題となっているが、学び過ぎは「じぶん商品化」の視点では弊害となりうる
●勉強のし過ぎの弊害は次の二つ
1.学びが深くなればなるほど、「自分には無理だ」と行動を制限されがちだから
2.「学校」で学べる情報は、既に過去の成功体験だから
●「自分はまだまだ病」への対策は二つ
1.現場から学びのタネを見つける訓練をしていこう
2.自分の仕事の「作業」を「価値」に再定義できないかを考えてみよう
今の仕事の延長に「じぶん商品化」の道があると考えれば、新しく勉強するための時間をつくろう、と寝る時間を惜しみ「一人ブラック企業化」することを避けることができますし、今の仕事や環境を「じぶん商品化」にどうつなげるか? という視点を持つと、つまらないと思っていた今の仕事も、格段に面白くなっていきますよ。
文/池田千恵 イラスト/PIXTA