年金の充実度は人によって違う

年金は3階建てで理解しましょう
年金は3階建てで理解しましょう

 さらに理解しておきたいのが、人によって年金の充実度が異なるということです。

 年金は3階建てでイメージしましょう。

 1階部分は国民年金で、原則的に20歳以上の日本国民ならすべてが加入しています。

 2階部分は、会社勤めの人が入れる厚生年金です。お給料から毎月「厚生年金保険料」が引かれているはずです。

 3階部分は、一部の会社で行われている、企業年金です。制度がある会社と、ない会社があります。つまり会社員なら、「2階部分まで」という人もいれば、「3階部分まであって充実している」という人もいるわけです。

「小さな会社では、3階部分の年金を準備する余力がなく、2階部分までというところも多いです。福利厚生は年々縮小しているので、3階部分がなくなるというケースも。1階部分だけという自営業やフリーランスの人や、会社員でも2階部分までという場合は、自分で用意すべき老後資金が多くなります。勤務先に確認しておきたいですね」(高山さん)

 勤務先の年金制度を確認する際には、入社時にもらった社内規定のハンドブックや社内のWebサイトを見る他、人事や総務に問い合わせるといいでしょう。

さまざまな「年金」の種類

 それぞれの年金について、どんな内容かをしっかり押さえておきましょう。

 国民年金とは、20歳以上の日本国民が全員入ることになっている、3階建ての1階部分。自営業やフリーランス、専業主婦の場合は、この国民年金のみになります。全国民が加入する公的年金制度だと覚えておきましょう。

 厚生年金とは、会社員や公務員が入れる年金で、3階建ての2階部分に当たります。会社員と公務員の公的年金制度だと覚えておきましょう。

「厚生年金は、保険料が労使折半です。労使折半とは、会社と個人とで半分ずつ支払うという意味なので、お得だといえます」(高山さん)

 以前は、公務員が入れる「共済年金」というものもありましたが、2015年10月に、厚生年金に一元化されました。

「共済年金は厚生年金に比べると少しお得だったのですが、公平性が求められ、廃止されました。その救済措置として、2017年1月から、公務員もiDeCo(個人型確定拠出年金)に加入できるようになりました」(高山さん)

 3階建ての3階部分に当たる企業年金とは、会社員の私的年金制度です。「厚生年金基金」「確定給付企業年金」「企業型確定拠出年金(企業型DC)」の総称です。

「企業年金の保険料は、基本的には会社が負担してくれています。厚生年金基金は廃止する会社が増えているので、制度がある会社は少ないかもしれません。確定給付企業年金とは、あらかじめ将来受け取れる年金が確定されている制度。企業型確定拠出年金とは、あらかじめ掛け金が決まっていて、運用方法は個人が選び、運用実績に応じた年金が受け取れる制度です」(高山さん)