給与明細書、ちゃんと見ていますか? 「手取り額だけ分かればいい」「初任給の時は見たけれど、それ以降は全然見ていない……」という人は要注意! 実はしっかり確認しておかないと損をしてしまう可能性があるのです。では、給与明細書はどのように見たらいいのでしょうか。ファイナンシャルプランナーの高山一恵さんに初歩の初歩から教えてもらいました。

残業代は支給金額に反映されている?

 毎月支払われるお給料。給与明細書も毎月発行されていますが、「確認するのが面倒」「手取り額だけ分かれば、あとは見ていない」と、ほとんど見ていない人もいるのではないでしょうか。

 ところが「給与明細書は、意外と間違いもあるので気を付けて」とファイナンシャルプランナーの高山一恵さんは注意を促します。明細書を確認せずに、会社任せにしていては間違いに気が付かない可能性も。特に気を付けたいのが、残業代や休日出勤の支払いです。

残業時間と残業代を照らし合わせるのがポイント ※架空の給与明細書です イラスト/渡辺あやね
残業時間と残業代を照らし合わせるのがポイント ※架空の給与明細書です イラスト/渡辺あやね

 一番上にある「勤怠」の欄には労働時間や出勤日数、残業時間や休日出勤などの時間が書いてあり、1カ月間の勤務状況が分かります。残業や休日出勤日は、通常の勤務から125%増し、135%増しなど賃金が割増しになり、支給額も変わるはずなので、きちんと付いているかを見ることは重要。普段から残業時間や休日出勤の日数などを手帳にメモしておき、時間や日数が合っているか、それが支給額に反映されているかを照らし合わせるようにしましょう。

 例えば平日に残業をした月なら、勤怠欄の平日普通残業に書かれた時間数と、支給欄に書かれた平日普通残業の金額が合っているかを見てみます。

手当の内容と意味を理解しよう

 資格手当通勤手当扶養手当などの欄も要確認です。会社によってさまざまな手当がありますが「なぜ、その手当が付くのか」を理解しておきましょう。なぜなら、その手当がもらえる条件が外れたときに、「なぜか手取りが減った」と焦ることがあるから。

 「例えば住宅手当。『入社5年目までは○円の住宅手当が付く』『結婚したら住宅手当がなくなる』などという、住宅手当が支給される条件を把握しておけば、それ以降のお金の対策を立てることができます」(高山さん)

自分の手取りを知るにはどこを見る?

 入社して何年もたっている方なら十分理解していることかもしれませんが、入社1、2年目の方は、総支給額手取り額の違いを理解できているでしょうか。働いて得られるお金は総支給額ですが、それがそのまま振り込まれるわけではありません。ここから税金や社会保険料などが引かれたのが、手取り額です。

 「銀行口座に振り込まれるのは手取り額です。この金額で毎月やりくりすると覚えておきましょう。総支給額でマネープランを立てると足りなくなってしまい、大変なことになります」(高山さん)

「総支給額」から、所得税(源泉徴収税)、社会保険料、住民税が差し引かれたのが「手取り額」です イラスト/渡辺あやね
「総支給額」から、所得税(源泉徴収税)、社会保険料、住民税が差し引かれたのが「手取り額」です イラスト/渡辺あやね
<次ページからの内容>
・「控除」の欄に注目すべき理由
・社会保険料って何?
・健康保険、雇用保険、厚生年金、一つずつ解説
・所得税、住民税はどう決まる?
・自分のお給料を時給換算してみよう