本当は心のどこかで「何かが違う」「やめたらきっと楽になるはずなのに」――。そう思いながら、今の場所に居続けてしまう(目の前の物事をやり続けてしまう)ってことありませんか? 時として、何かを始めることより、やめることのほうが難しい場合があります。それは、手放すことへの勇気と覚悟が必要だから。
 心に渦巻く葛藤と向き合いながら、恋愛、仕事、家庭、ダイエット……いろんなジャンルで「やめる」決断を下し、新しい幸せを手に入れた女性たちがいます。そのストーリーも、今回でいよいよ最終回! 第7回は、これまでさまざまな企業で働いてきた沙織さん(45歳)が、正社員という安定を捨て、好きな仕事で独立&成功するまでのストーリーをお届けします!

沙織さん・45歳
<会社を辞めて思い切って独立したら、夢がかなった!>
転職5社目にしてようやく自分に合う職場を見つけたが、次第に何事も受け身で保守的な上司に不満を持つように。そんな職場のモヤモヤを解消しようと、バレエやピラティスのレッスンを受け始めると体調や心によい変化が! 「いつか美容と健康の分野で独立したい」と夢を描くようになる。そこから、どうやって安定した会社員生活を手放し、夢を実現できたのか?

女性ばかりの職場が合わず、転々。ようやくたどり着いた職場でも…

――金融や化粧品会社の事務、雑誌の編集プロダクション、マーケティング会社など、さまざまな職場で働いてきた沙織さん。どの会社でもいまひとつ職場になじめなかったり、仕事に面白味を感じなかったりと、不満を抱えることが多かった。

沙織さん これまで女性ばかりの職場が多かったんですが、いわゆる女子トークが好きじゃないのでランチや休憩時も一人で過ごしていたところ、だんだん職場で浮くように……。私の一匹オオカミ的な態度が気に食わないのか、先輩社員からちょっとした嫌がらせを受けることもありました。

 そうしたこともあって、短い期間で職場を移ることになってしまったのですが、5社目の会社でようやく腰を落ち着けて働けるようになったんです。

 そこは、美容系の業界新聞を作っている会社でした。社長を含めて4、5人程度のこぢんまりとした会社で、女性は私と事務職の社員の二人だけ。好きな美容業界の情報を扱っていることもあり、今までの職場の中では一番合っているなと感じました。私は記者として美容系の新商品のプレス発表会に行ったり、その様子を記事にまとめたり。楽しいと感じる場面も増えていきました。

――ところが、2年、3年とたつうちに、仕事がマンネリ化するとともに、日々の業務を指示する上司にも不満を抱くようになってしまった。

沙織さん 紙面の編集責任者である男性上司があまり新しいことをやりたがらない保守的な性格で、取材先はたいていプレスリリースが送られてくる企業か、有名企業の新作発表会ばかり……。自ら最新の情報をつかみに行ったり、面白い企画を仕掛けたりするタイプではなかったんですね。

 「こんな企画はどうでしょう?」と提案しても、「いやぁ、それはどうかなぁ」とのらりくらり。上司を飛び越えて社長に相談しても、「彼(上司)に任せているからねぇ」とはぐらかされてしまい、気持ちが萎える毎日でした。自分がやりたいと思った企画もかなわず、沸々と心に不満がたまっていったんです。

<次のページからの内容>
●職場のモヤモヤをプライベートで解消! 自分の「好き」が明確になった
●夢をかなえるために選んだ「正社員」を手放す道
●会社を辞めて自由になるわけじゃない。将来への不安や焦りはセット
●あきらめなかったからこそ、訪れたチャンス