「出会いがなくてもいい」「自分らしく生きる」新たな一歩

――この時、38歳となっていた亜美さん。婚活をやめて、どんな一歩を踏み出したのか?

亜美さん 婚活でこんなに苦しい思いをするくらいなら、「もう一生、一人でもいい!」と開き直りました。とはいえ、出産のタイムリミットまであと少し。ならば、昔好きだった男性に頼んで子どもを授かって、「シングルマザーとして生きていくのもいいかな」と完全に振り切っちゃいました。

 実は、以前付き合っていた外国人の元カレにうっすら未練があって、時々連絡は取っていたんです。特定の相手もいないようだったので、その元カレを呼び出して「子どもが欲しいから相手になってほしい」と思い切って頼んでみました。

 久々の再会は、それはもう、散々でした。うれしさのあまりカレが泥酔してしまい、荒稼ぎの話をし出したり、若い女性と関係を持った自慢話などをしてきて支離滅裂。「私はこんなクズ野郎の子どもを本当に産みたいのか?」――と自分の浅知恵にホトホト情けなくなりました。

 もう、こんな腐れ縁も解消して、「おひとりさま」で好きなことをして生きていこうと本気で思いました。自分らしく生きた先に、いい出会いがあればいいし、なけりゃないで自分の思う通りに楽しく生きていければいい。一人で生きていくなら、経済的にも精神的にも窮屈な日本にいる意味はないと思い、海外での職を探し始めました。

――その後、以前の職場のつながりでいい条件の求人を教えてもらい、応募するとトントン拍子に話が進んだ。政府系の仕事でアジアのとある国に出向するというものだったが、見事赴任が決まり、その3カ月後には現地に飛ぶことになった。

 あまりの急展開で驚きました。現地に着いて生活も落ち着いた頃、趣味でも持とうかと社交ダンスを始めました。そこで同い年の外国人男性に声を掛けられて、あれよあれよという間に付き合うことになったんです。そして自分でもビックリなのが、なんとその半年後に妊娠が発覚したんです。

「自分で生きていく」という覚悟の後、未来が開けた (C)PIXTA
「自分で生きていく」という覚悟の後、未来が開けた (C)PIXTA

 人生が瞬く間に動き出してしまって、全くもって追いついていけていません(笑)。出会いって、本当に突然訪れますから、油断大敵です。たった1、2年前のことですが、今振り返ると、なんであんなに結婚を焦っていたんだろうと思いますが、立ち止まるのがきっと怖かったんでしょうね。

 今は出産に向けて準備中ですが、国際結婚になるので入籍などの手続きはこれからです。でも、どんな未来が待っているのか、楽しみでたまりません。婚活を諦めるまでに時間はかかりましたが、「自分で生きていく」と覚悟を決めた直後に未来が開けました。しかも全く予想できなかった未来です。

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 さて次回は、スピリチュアルなどのさまざまな幸せグッズが部屋を埋め尽くしていた優子さんのストーリーをお届けします。どうぞお楽しみに!

文/伯耆原良子 イラスト/PIXTA