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平成最後! 私たち女子が「もう、しなくていいこと」(2/3)

2018年12月25日

昭和の女性たちから進化を遂げた、平成を生きた私たちの軌跡

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男女の役割は「戦略」にすぎなかった

 「30代の働く地図」(岩波書店/玄田有史・編)という本が10月に刊行され、話題を呼んでいます。東京大学社会科学研究所の玄田有史教授(労働経済学)監修のもと、これからの働き方を模索する若手研究者たちの11の切り口から、今頑張っている30代や、それに続く若い世代が自分らしい職業人生を見つけるための気付きのヒントが見つかる本です。

 その第9章「変わりゆく夫婦の約束――家族の生活安定戦略」で、雇用政策・家族政策を専門分野とするリクルートワークス研究所主任研究員・大嶋寧子さんによる、戦後の夫婦役割についての考察が「そうそう!」と的を射ていて、エキサイティングでした。

 大嶋さんは、夫婦の形や役割分担とは、その時代のその文脈の中で「家族が(豊かな生活を約束する最も確実な戦略として)選び取った役割分担」にすぎないことを見事に指摘しました。つまり、時代が変われば男の在り方も、女の在り方も、夫婦の形も当たり前に変わる。その時代(人類史で言えばちっちゃな一地点)を生き抜くための、戦略にすぎないからです。「こうあるべき」正解なんかないんです。

 高度成長期の日本で、大都市圏の企業から続々と生み出される右肩上がりの雇用に地方から労働力が流入した結果、なんと第1次産業社会だったはずの日本の7割が会社に勤めて妻子を養えるだけの安定的な賃金を得る雇用者(サラリーマン)となる社会へ、大変化しました。

 大嶋さんはこの高度経済成長が可能にした「男の甲斐性型の働き方」に基づく「夫が稼ぎ、専業主婦の妻が家族のケアを担う」夫婦役割のスタイルを「夫婦役割1.0」と呼びます。

 やがて石油危機が世界を襲うと、人件費の上昇を抑えたい企業にとって魅力的なパート労働という働き方が広まりました。子どもの数が減少して家電製品が浸透し、妻には働く余裕ができた一方、進学率の高まりによって教育費が家計を圧迫し、妻には働く理由もできました。妻はパートタイムワーカーとして、あくまで家計補助的な範囲で働くようになり、この時期に生まれたのが、夫は更に仕事中心の生活を送り、妻は「家族のケアと仕事」に向き合う「夫婦役割2.0」だったのです。

あの時、なぜ日本社会は変われなかったか

 そして1991年のバブル崩壊。激しい価格競争が中小・零細企業の経営を圧迫し、新卒採用は抑制されて、非正規雇用への依存が高まりました。リストラが断行され、かろうじて組織に残れたとしても、賃金上昇は抑制。妻たちに提供される非正規雇用の数は増え、また若い女性にとっても正社員のポジションを結婚出産きっかけで手放すことへの不安や抵抗感が増大した結果、「働く妻」は急増することとなりました。

 でも、「男の甲斐性型の働き方」は揺らいだにもかかわらず、夫婦双方が平等に仕事と家族ケアを担う共働きスタイルの「夫婦役割3.0」は、日本ではなかなかグズグズと実現しませんでした。その理由は、企業の経営難が人員削減へとつながり、現場のサラリーマンたちはより一層の長時間労働と、転勤や単身赴任などに応じて雇用を死守する傾向へ突入して、家事や育児は変わらず女性に集中する結果となったためです。

 代わりに、社会が採った戦略は「懸命な支出の抑制」、つまり節約でした。節約ブーム、起きましたよね~! あの時、日本の夫婦は役割負担のバージョンアップではなく、自分たちの衣食住や娯楽への支出を削りながら生活を防衛することにしたのです。

 そんなあまりに長い「失われた20年」を経て、風が吹き、イマココ。

 長寿化や、AIに代表されるテクノロジーの発展の影響で、企業が「男の甲斐性型」の働き方や家族の人生を支えることは今以上に難しくなっていきます。さて、今度こそ私たちは、次の世代のために男女の役割の本格的な見直しができるでしょうか。

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Profile
河崎 環
河崎 環(かわさき・たまき)
コラムニスト。1973年京都生まれ、神奈川県育ち。家族の転勤により桜蔭学園中高から大阪府立高へ転校。慶應義塾大学総合政策学部卒。欧州2カ国(スイス、英国ロンドン)での生活を経て帰国後、Webメディア、新聞雑誌、企業オウンドメディア、テレビ・ラジオなどで執筆・出演多数。多岐にわたる分野での記事・コラム執筆を続けている。子どもは20歳の長女、11歳の長男の2人。著書に「女子の生き様は顔に出る」(プレジデント社)
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