男はオシャレの肥やし。「一線は超えない」

 面白かったのが、一線を超えないためのノウハウまで紹介されていたところ。夫に紹介できない人とは会わない、夜は二人だけは避ける、ムーディーな店は選ばない、二軒目はなし、など。そこは元カレ特集の時と同様、決して不倫を奨励したりにおわせたりするのではなく、公序良俗を刺激しないコンサバならではの基本路線をきっちり押さえたままなのが、さすが「STORY」です。そう、「STORY」読者とは、オシャレ偏差値も(配偶者のポジションや居住地域や子どもの学力などの)社会的偏差値も高い女なのですから、世間の下世話な噂のネタになるようなことはしないのです。

 ここでポイントなのは、限りなく黒寄りの(黒に寄りたい)気配漂う、グレーな元カレ企画も男友達企画も、ともにオシャレを磨くためだということです。男はオシャレの肥やし。オシャレはモテと不可分なのです。

「彼には、夫含め家族に話せないようなことも相談できちゃうんです」 (C)PIXTA
「彼には、夫含め家族に話せないようなことも相談できちゃうんです」 (C)PIXTA

 「ゆるふわだかナチュラルだか、甘えてお茶濁してんじゃないわよ、男にモテないオシャレはオシャレじゃないのよ!」。なんて明快、風邪で詰まった私の鼻を瞬時に通す強いメントールのようなクリアーさでしょうか(ふーん!と鼻をかむ)。そうよ、ジャージ姿で鼻詰まらせて背中丸めて原稿書いてる場合じゃないのよ!

R45、ラブ(恋愛)アゲイン

 先日、辛い辛い刀削麺をフウフウすすってソロランチをしていたら、背後のアラフィフらしき女性グループが昼間からとても盛り上がっていました。

「◯◯ちゃんの離婚もさぁ、ホントよかったよね~」
「あのダンナ最低だったもん、◯◯ちゃんいっつも顔色灰色だったもん。水分なかったもん!」
「今ウルウル、ツヤツヤだよね。輝いてるよ」
「シングル・アゲインだね~、竹内まりやだね~」
「でもすぐに『寂しくなったんじゃないですか』とか言う男がいるよね、違うっつーの」
「そうそう、シングルになるってのは、フリーになるってことだからさ。もう縛られなくていいんだから、自由なんだから。寂しいどころか、楽しいの!」
「ねぇ、◯◯ちゃん誘って、カラオケ行っちゃう? 竹内まりや歌っちゃう?」

 4人一斉の「いいねぇー!」に驚いて、麺と一緒に吸い込んでしまった唐辛子の塊が喉に貼り付き、せき込む私。水をごぶごぶ飲みながら、私も背中で「いいねぇー!」という空気を出しました。

 フリーになるってことなんだから。
 自由になるってことなんだから。

 詳しい事情は分からないけれど、「◯◯ちゃん」の離婚は周りのみんなが楽しく祝福したいと思える、何かからの解放だったんだなぁ。よかったねぇ。竹内まりやという名前が出てきたあたりにもアラフィフの貫禄があって、ちょっと微笑んでしまいました。

 最近、多くの40代女性誌がこれまでよりちょっと年齢を上げて「45歳」を読者の中心世代に置き、やたらと「45歳からの~」「女45、〇〇を極める!」なんて特集をしているのを見ると、まさに45歳である私は自分に向かって言われているような気がして、思わず雑誌を手に取ってしまいます。R45狙い撃ち。人生のいろいろを鼓舞されて、「やっちゃえR45!」感がすごい。

 45歳って、雑誌を読む最後の世代といわれる団塊ジュニアのど真ん中。数だけはやたらといて、ずっと競争せざるを得なかったからこそ、お互いへの関心も高く、連帯感もある。私の周りの同世代たちも、いろんな葛藤に決着をつけてきたり、今決着をつけたりしつつあります。

 念願の子どもを授かって、いま小さな子どもを育てている人もいます。子育てがほぼ終わるという人もいます。キャリアや結婚生活の分岐点にいる人もいます。既に新しい道を選んだ人もいます。でもどの人も間違いなく、私たちが若い頃に見ていた40代のイメージとは違う。仕事や家庭や趣味や、いろいろな居場所を持って、情報の感度が高く、衣食住さまざまな経験を積んでいて、センスも頭もいい。若い。

 20代、30代の皆さんにとっては、40代がふわふわと恋愛(めいた行動)をしているのを見ると、戸惑うかもしれません。「大人なのに、じたばたしている」「見苦しい」と批判的な声もあるでしょう。私自身、20代の頃に上の世代がふわふわしているのを見て、「何やってんだ」とあきれていました。「大人にもなって、くだらないな~。もっと生産的なことに人生使えばいいのに」くらいに思っていました。